石の家 40話:ハナミズキ.2
2004/03/09 Written by サエ

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シェリンダの日記からその日記をペリペリと剥がしていると――
ツォンの耳元に悪魔の囁きが聞こえてきた。
彼は女子担当であり、今まで男子の日記は見たことがなかったのだ。

男子生徒から見た、
女生徒の様子が書かれているに違いない・・・間違いない・・・
ちゃんと後でイデアさんに返すのだから
今、コッソリ見たって別にわかりゃしない・・・・・・
だから少しだけ・・・・・・

ツォンは座りなおして、その日記を開いたのであった。


学園祭の日

ヘ( ̄▽ ̄*)ノ・ ・.♪ヒャッホーイ♪.・ ・ヾ(* ̄▽ ̄)ノ
ああ・・・・・・
感動だ・・・・・・
コンナ日が、くるなんて・・・・・・まるで夢のようだ・・・・・・
まさか、
ユウナちゃんとお揃いのエプロンルックが出来るなんて・・・・・・
〔†〕 m( ̄0  ̄〃)オオ!カミヨ!!アリガトウ!!

でもそれは、間違い、だった・・・・・・
・・・シーモアめ、シーモアめ、シーモアめ・・・!!
ユウナちゃんにいいカッコしただけでなく
お揃いのエプロンつけて
一緒に当番して・・・・・・
シヴァちゃんとも、デートしてたじゃないか!!
2人を両手に花、なんて
ずるいよーひどいよーヾ(@† ▽ †@)ノうわーん


こ、これは、アニキの日記だったのか。
奴め、ユウナちゃん狙いだったとは。
しかし・・・それよりも、だ・・・。

ツォンの目は夜目にも怪しく煌いた。
そう、シーモア君が両手に花、と記された箇所に釘付けだったのだ。
アニキの日記は、その後は
見るも無残な悲しい泣き言が綿々と綴られていた。
恐らく、最後は涙と鼻水をたらしながら書いていたのであろう、
字は所々滲んでおり、判別不可能となっていた。
ツォンにも、アニキの胸が張り裂けんばかりの悲しい思いが
切々と伝わってきたのであった。

ここではたと我にかえるツォン。
日記に付着したベトベトしたものと
それに触った自分の手を交互に見比べると、
慌てて洗面所へと走っていったのであった・・・。

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後書き
「ハナミズキ」転じて「アニキの鼻水記」。なんちて。
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