石の家 40話:ハナミズキ.1
直前の画面に戻る2004/03/09 Written by サエ

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「まぁ、さすがに今回は皆、凄いですね。」
「か、感動です・・・!!」

イデアとツォンの前には、
子供達から提出された絵日記が山積みされていた。
毎日、1行でもいいので、その日の出来事を日記につけることが
子供達全員に与えられた宿題になっているのである。
学園祭を終えた当日・・・は、
さすがに全員興奮気味でもあったので
翌日にゆっくり書いてから提出してもいいと言われていたのだ。
子供達は次の日、それこそ一日がかりで
皆がそれぞれの日記をつけるのに夢中になっていたのである。
その成果が、今、ここにっ・・・!

「ああっ、み、見てください!!」
「パインちゃんもティナちゃんも・・・・・・」
「風神ちゃんまでもが、こんなにビッシリと・・・!!」

風神の日記は、毎日、単純明快だった。

凶。
吉。
仏滅。
大安・・・等々。

それが、今日提出された風神の日記には、
ページ一面、字・字・字・・・・・・
いや漢字で埋め尽くされていた・・・!!
本当に漢字しかなく、本人も興奮していたのか
句読点さえなかったので
意味を把握することは至難の業であろうが
それすらも、喜びを覚えるツォンなのであった。

この日記の意味を汲み取る事、
これ即ち風神ちゃんとの愛の共同作業・・・!!
むふーむふーむふー!!!

「それでは、私はこれで失礼いたしますわ。」
「ああ、これはお構いしませんで・・・。」

イデアは石の家の生徒達の日記を受け取ると
自室へと引き上げていった。
この世で、イデアを部屋に招きいれながら
茶の1つも出さない男など、ツォンしか存在しないであろう。
だからこそ、彼に光の家を任せたのだが。
ツォンは、イデアを見送ると
日記を抱えて自分のベッドへと飛び込んでいった!
散乱した可愛い妖精たち(の書いた日記)に囲まれながら
誰から読もうかと、贅沢な悩みにしばし、ひたる・・・。
しかしその目にふと飛び込んだ、とある日記。
嫌なものを見つけてしまった!と
露骨に不快感を露にしながらも
最初に読んでしまった方が、幸せも汚されないと思い直し
シェリンダの日記を渋々、手に取ったのであった。

学園祭の日

(V0ノV*)オーホホッ
今日はわたしが、女王様の日なのよーー!( ̄‥ ̄)=3 フン
忙しいわ、やっぱりアイドルは、違うのよっ!( ̄‥ ̄)=3 フン
素人喉自慢では、スペシャルゲストとして招待され
劇では一番出番の多い美女役、お妃様ですしっ!!
(V0ノV*)オーホホッ

そうだわっ!!!
(( ̄ー+( ̄ー+( ̄ー+( ̄ー+ ̄)ー+ ̄)ー+ ̄)ー+ ̄)ニヤニヤニヤニヤリ

劇で馬鹿ユウナに りんごを食べさせるシーン・・・
毒を刷毛で塗る場面は差し替えて
私のツバをたっぷり喰らうがいいわっ!!
舞台の上では、演ったモン勝ちなのね!
馬鹿エーコにも、途中でストップはかけられないだろうし。
そうねぇ、それなら・・・・・・
ホントに馬鹿ユウナも死ぬかもしれないわね?
そしたら、そのまま私が白雪姫も演じてみせるわ!!
皆、私についてくるがいい!!
(* ̄Oノ ̄*)ホーッホッホ!!

毒日記を読んでいて
ツォンは心底ゲンナリしてしまった。
パラパラとページをめくると、それは延々
20頁を過ぎてもまだ続いていたので
そのままそっと日記を閉じたのであった。
すると・・・・・・何故か、
シェリンダの日記の後ろに、別の日記がくっついていた。

この青い背表紙・・・は、男子の日記だな。
たくさんあり過ぎて、交じってしまったのか。
後でイデアさんに渡しに行こう・・・

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