石の家 8話:小さな恋の物語.1
直前の画面に戻る2004/01/12 Written by サエ

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「いいか〜、テメェ〜らっ!」
「珍しいからって勝手に走り回るんじゃねぇ〜ぞっ!!」

ドスン、ドスン・・・
シパーフは大地を揺るがしながら
今日も元気にのんびり幻光河の渡し守を勤めていた。
その勇姿に見惚れている子供達にしかし、シドの声は全く届いていなかった。

アニキ「おお、やっぱり大きいな〜!」
ダチ「これぞ、男子永遠の憧れなのだっ!」
アニキ「なっ!」
ダチ「なっ!!」
リュック「じゃ、早く乗ろうよ〜〜!」
アニキ「よっし、任せろ俺に!」

アニキは鼻息荒く、シパーフ使いのハイペロ族に話しかける。

シパーフ使い 「ん〜〜〜?シパーフ乗るぅ〜〜?」
アニキ「え・・・その・・・キプーク、オニサミ・・・」
ダチ「おいおい、通じるわけないだろっ!」
リュック「アニキって肝心な時はいっつもこうなんだから!」
「アタシ達、シパーフ乗りにきたの!」
シパーフ使い 「ん〜〜〜?ダメダメね〜ん。ムリっポイかもヨ〜?」
ダチ「どうしてだよ!」
シパーフ使い 「子供だけだと危ないのね〜〜ん。」
リュック「大丈夫!アタシ達、飛空艇に乗り慣れてるもん!!」
シパーフ使い 「ダメなものはダメなのネ〜。」
ダチ「シドさん、どこ行ったんだよ!?」
アニキ「そうだ、オヤジがいた!・・・あれ?はぐれた??」
リュック「やだやだ!絶対乗りたいんだもんっ!」
シパーフ使い 「・・・・しょうがないのね〜ん。」
「仔シパーフになら、乗せてあげる〜ヨ?」
リュック「やったーー!」
アニキ「子供かよ・・・大きいのがいいよ・・・・・・」
リュック「シパーフっ、シパーフっ、シっパ〜〜フぅ〜♪」
シパーフ使い 「シパーフ乗る〜?じゃあ、乗りな〜ヨ?」
「シパーフしゅっぱーつ!」

こうしてアニキ達はどうにか仔シパーフに乗せてもらえた。
仔シパーフとは言え、
アニキ達三人を軽々とその背中に乗せている。
シパーフ使いが本来なら乗る場所は、さすがに狭いので
彼は手綱を引きながら自らも併走しながら泳いでいた。
しかし向こう側まで泳ぐことは出来ないので
幻光河の半分ぐらいの所までしか進むことは出来ない。
それでも、アニキ達には充分のようであった。
河の中央で立ち止まり、幻光河の景色を堪能する。
シパーフ使いが眼下に見える沈んだ遺跡の解説をしてくれた。
リュックとダチはいっぱしに
何故こんな立派な都市が滅んだのか議論してみたりする。
アニキは、そーいうーことには全く興味がないので
ひたすら回りの景色に目を奪われていた。
すると、後方から
正真正銘の巨大シパーフが泳いでくるのが目に留まった。

あー、やっぱ大きいのはいいなぁ
あれに乗りたいなぁ・・・・・・
ん・・・・・・いいっ!?

アニキは信じられないものを目撃してしまった。
世界一安全な乗り物、シパーフから、転落する人影があったのだ!

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