石の家 47話:微笑みの爆弾.1
直前の画面に戻る2004/03/16 Written by サエ

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シェリンダは、今の生活―――
特に、学園祭以降の日々を謳歌していた。
自分でも意識していなかったのに
明らかに、周りの住人の見る目が違っていたからだ。
皆、当然、恐怖の大王に恐れおののいていたわけなのだが
当の本人には、
女神を讃える賞賛の目に感じられたのだった。

シェリンダが転入した頃は
地元の子供と何ら変わりはなかった。
逆に美少女軍団ばかりで結成された光の家では
唯一、目立たなかった地味な少女Aであった。
住人は当初、
彼女は小間使いか何かと勘違いしていた時期もあった程だ。
しかし・・・・・・。
多くの美少女達と学園生活を営むにつれ
シェリンダは大きく変わって逝った。
恐らく、誰もが想像していなかった程の
自信満々の子供へと何故か変貌していったのである。
元々、夢想家であった性格もその要因であろう。
しかしきっかけは、やはり学園祭であった。
自分なくしては、あのお芝居の盛り上がりは
ありえない!
という全く根拠のない自信を植え付けてしまったのであった。

それからと言うもの・・・・・・
何をするにしても、自分が一番!とはっきり
態度でも口でも表すようになった。
気に食わない出来事があるとしっかり気晴らしをすることも覚えた。
ユウナが可愛い!
と噂話を聞きつければ、彼女の御飯に自分の鼻くそを混ぜ
パインが素敵!!
と聞きつけたときは誰よりも早く、彼女の相手役を奪い取った。
こうしてシェリンダは、逞しくずる賢く成長していったのであった。

そこへ・・・・・・
また新たなる天敵が現われてしまったのである!
件のギルガメッシュ君だ。
誰よりも率直なギルガメッシュは
こともあろうに、
生徒達全員の前で自分をブッサイク!と罵倒したのだ。

こ・の・う・ら・み・

は・ら・さ・で・お・く・べ・き・か!!


それ以来、シェリンダの心は
ギルガメッシュに対する怨みと邪悪な復讐心で凝り固まってしまった。
しかし手出ししようにも
彼は瞬く間に石光の家のアイドルとなり
いついかなる時でも、誰かしらが相手をしている。
悔しくて悔しくて、
ベアトリクスや風神の御飯にツバをかけてはなんとか
溜飲を下げていたシェリンダなのであった。

と・・・・・・どうしたことだろう?
今、教室で眠り込んでいるギルガメッシュの周りには
人っ子一人、いないではないか!!
ギルガメッシュが高鼾で寝ているせいもあるし
次の授業に久しぶりにジェクトが参加することもあったためだろう。
シェリンダがこの絶好の機会を逃すわけもなく
むんずとギルガメッシュを握り締め、自分のポッケに押し込めると
そのまま海岸へと走り出したのであった。

海岸では、皆がブリッツ授業を受けているところだった。
シェリンダは直接海岸へは行かず
左横の崖上をよじ登って、小さな入り江へと降りていった。

「ふっふっふ・・・・・・。」
「さぁて、どうしようかな〜♪」

ギルガメッシュはポッケに押し込められた時点で
目が覚めていた。
お得意の舌鋒はしかしながら、シェリンダの靴下のせいで
封じ込められている。
近くから子供達の歓声も聞こえるのだが
何故か、この入り江にはシェリンダしかおらず
自分を助けてくれる者はいないようだった。
必死に辺りを見回すギルガメッシュの目の前に・・・
シェリンダは次々とご愛用の
五寸釘、出刃包丁、チェーンソー、巨大鋏、鉄爪など
ありとあらゆる拷問器具を嬉々として並べ始めたではないか!

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