石の家 46話:うれしい!たのしい!大好き!.2
2004/03/15 Written by ノア

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それはオダインが、やはり退屈していたときであった。
暇つぶしに適当に作っていたチョコボロボットだったのだが
それを見たシド学園長が、スパイに使えるのではっ!と
内臓カメラや音声受信装置もつけたらどうか、など
助言していたのである。
学園長の顔を立ててとりあえずつけたものの、
天才肌がゆえに
人に注文をつけられたもの、というのが気に入らなかったのか
オダインは出来上がったチョコボをシドに見せることもなかった。
シドもシドで、学園祭の準備に追われてしまい、
今ではその存在自体忘れているようであった。

その頃、オダインがツォンを直々に研究所に案内した事があった。
ガラクタ部屋でおじゃる、とチラ見させたこの部屋で、
闊歩しているミニチョコボを見つけたツォンが
いくらでお譲りいただけますか?と食いついたのであった。
ガラクタ部屋にいれたものは
オダインの興味が全て失せたものばかりなので
言われて初めて、そんなもの作ったなぁと思い出したくらいであった。
タダでもいいのに・・・と思いつつ、
研究予算が高すぎて困る!と、シド学園長に言われたのも
ついでに思い出してしまい
原価の10倍で売るのが秘訣ですと言っていたので
その法則にのっとり100ギルと答えたのであった。
個人的にも光の家とパイプを作りたかったし
忘れていたガラクタといえども
シドに渡すよりツォンに渡すほうがいいと思いたち、
こうしてミニチョコボは学園から譲渡されたものだったのだ。

ソーン「あのチョコボが喋るとは知らなかったでおじゃる。」
ゾーン「・・・なんだか羨ましいのでごじゃる・・・」

ギルガメッシュの周りには光の家の子が集まっているので
どこを向いても、あぁ絶景かな、絶景かな!
二人は掃除をするのも忘れて
しばらく画面に見入ってしまった。

『ピピピピ・・・・・・』

ソーンとゾーンの腕時計がなった。
オダインにお茶を出す時間が迫っているのだ。
用意する5分前にアラームが鳴るようにセットされている。

ソーン「ハッ!お茶の時間でおじゃる!」
ゾーン「はっ!何も片付いてないでごじゃる・・・」
ソーン「とりあえず・・・このことは二人の秘密でおじゃる!」
ゾーン「シド学園長には絶対見付かってはダメでごじゃる!」

そこからの二人は凄かった。
今までにない要領のよさでオダインにお茶を出してから、
こんなに早く動けるのかと自分たちでも感心するくらい、
テキパキと片付けて、ガラクタ部屋を見事に掃除しきったのである。

ソーンとゾーンは、栄えある生徒番号1・2でありながら
まずはオダインの助手ありき、なので
比較的その行動には自由が認められていた。
期末テストが行われていようと、
オダインのティータイムには二人は抜けていくのだから。
掃除が終わると、二人はモニターと受信機を持って
自分たちの部屋へ戻っていった。

ソーン「つ、続きを見るでおじゃる!!」
ゾーン「ど、ドキドキするでごじゃる!!」

モニターをつけたのだが、なぜか真っ暗だった。
壊れたでおじゃるか?寿命だったでごじゃるか?と
一瞬慌てふためいた愉快な二人。
受信機のほうから、グォ〜グォ〜と派手な鼾が聞こえてくる・・・
あまりに精巧だったのか、
それとも親父すぎたのか、
肝心のカメラ(チョコボ)が寝ていてしまっては、
お目当ての女の子を見ることが出来ない。

とにもかくにも、こうしてモニターチェックする時が、
二人のこれからの最大の至福の時間となったのであった。

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