石の家 43話:にくまれそうなNEWフェイス
直前の画面に戻る2004/03/11 Written by ノア

今日は経済学の授業。
趣向を凝らしてゲーム感覚でするらしい。
黒板前には5つのお立ち台が用意され
ランダムに選ばれた生徒達が恥ずかしそうにその上に登った。

「物価を知ることも大事なことです。」
「今から見せる品物の金額を当ててみてください。」
「ゲームに勝った人には賞品がありますからねぇ〜!」

そうして、ツォンが最初にお題としてみせたのは、
ミスリルダガーであった。
壇上の子供達は試行錯誤しながら値段をつけていったが
シェリンダは最後まで黙っていた。
そして一番高く言われた金額の僅か1ギル上乗せの金額を
自分の設定金額として宣言し
見事に最終問題への挑戦権を手にしたのであった。

ツォンは明らかにガッカリとした様子だった。
みんなを喜ばせるために、
実はこの最初の賞品は特に豪華なものを用意していたからだ。
それをよりにも寄って、
シェリンダに渡すことになるとは・・・グスン。
涙をこらえて、ツォンは賞品を皆に見せた。

子供たちの間から、おおおお〜〜〜っ!とどよめきが上がる。
ツォンが開けた箱の中には、 子犬ほどの大きさの
チョコボがいたからだ・・・!!
クエ〜〜ッと鳴く声といい、首を振る仕草といい、どうやら本物のようだ。
子供たちの歓声には今度こそ嫉みの色が滲む。

「ズバリ、このチョコボのお値段は!?」
「100ギル、1000ギル、1億ギルからの3択ですっ!」

子供たちは一斉にシェリンダに向かって
1000ギル!1000ギル!!とはやし立てている。
普通は協力するように声をかけるのだが、
心底このチョコボをシェリンダにやってたまるか、
という熱意(悪意とも言う)がこもっていた。
シェリンダはそんな皆の気持ちを知ってかしらずか、
ふふん、と鼻息荒く一息ついたあと、1億ギルなのよっ!と答えたのだった。
エルオーネなど悔しさのあまり目に涙がたまっている。
これでこの可愛らしいチョコボは
シェリンダのものになってしまうのか・・・ガッデム!

「ああ〜〜〜、残念、外れです。」←凄く嬉しそう
「これはオダイン博士が気まぐれで作ったもので、100ギルなんです。」

みんな打って変わって拍手喝采していた。
これでチョコボは救われた!!
この「なんちゃって★Price is Right!」ゲームは
そのあとツォンが満足いく盛り上がりを見せ、
無事授業?は終了した。

そして・・・その授業終了後。
いつもならば、みんな外に飛び出して行ったり、
お目当ての相手のところに行ったりするのだが、
今日は・・・ツォンの周りに沢山の妖精たちが群がったのである!
むふーむふーむふーー・・・

ツォンがひざの上にチョコボを乗せると、
女の子たちの歓声も更にヒートアップしていった。

ツォンは、この「妖精たちに囲まれてる図」を
いかに長引かせるかを算段するのに忙しかったのだが
その淡い夢を踏みにじったのはやはりシェリンダであった。

「このチョコボは私のものよ!」

シェリンダはムンズと強引にチョコボを捕まえると、
自分の胸に抱いてしまったのである。
女子からの非難轟々の嵐の中で、
口笛吹いてどこ吹く風のシェリンダはある意味凄い。
しかし、もっと凄いヤツが現れたのだ・・・!

『ちょっとちょっと、放してんかぁ〜〜〜!!』

・・・聞いたこともない声だ。
ツォンなど、この学園に不審入者がいるのか!?と、
本気で真っ青な顔になってしまった。

『わてはなぁ〜、こぉ見えても面食いやねん。』
『あんさんみたいなブッサイクなヤツに抱っこされても、』
『ち〜〜〜〜〜っとも嬉しないでぇ〜〜〜!!』

今度こそ、シェリンダの抱くチョコボに、
みんなの視線が集まる。
気のせいか、チョコボはペッペッとしてるようにも見えた。
シェリンダは、面と向かって「不細工」と言われてしまい、
夢遊病者のようにチョコボを机の上に戻した。

『我輩はチョコボである・・・名前はまだない・・・』
『あのオッサン、暇つぶしでわてをこしらえたらしく、』
『完成と同時にわてのことうっちゃりよってん!』
『誰かわてに、かっこええ名前つけてくれんかのぉ・・・』

女の子たちの歓声が一際高くなった。
どうやらウケているらしい。
唯一、シェリンダだけが悪意に満ちた目でチョコボを見ている。
あまりの盛り上がりように、石の家の子たちも集まってきた。
わては男は嫌いやねん、シッシッ!というセリフには、
男の子にも女の子にも大うけだった。

子供達は色々協議した結果、
チョコボに『ギルガメッシュ』と名付けてあげた。
こうして石光の家には、可愛いマスコットが誕生したのであった。

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