石の家 4話:大作戦
直前の画面に戻る2004/01/06 Written by ノア

今日も「石の家」には新入生がやってきた。
去年のノーベル化学賞候補にも選ばれた天才少年として有名なシンラ君だ。
常夏の地ビサイドとは言え、雨は降る。
子供たちのために、石の家にはちゃんと体育館も設立されていた。
天候が悪いので今回はブリッツではなく
ドッジボールでシンラ君を迎える親睦会が開かれた。

ほとんどの子供たちは、ドッジボールを楽しんでいたが
アービンとジタンだけは参加せずに
体育館の隅っこで二人ヒソヒソと何かを相談していた。

アービンは、ビサイドに来た最初の日以来、
結局それっきりセルフィに一度も会えていなかった。
石の家は完全寮制度だからだ。
このままでは精神的に病んでしまう・・・
そんなときに、転入してきたのがジタンだった。
何故だか・・・妙にアービンと気が合い、
おかげでアービンの精神は均衡が保たれていた。

セフィに早く逢いたいアービン、
セフィをはじめとする女子全員に逢いたいジタンは、
二人して、女子との共同授業を本当に心待ちにしていたのである。
しかしここに来てまだ1週間経つか経たないかだ。
大体カリキュラム自体、本人たちも良く分かっていない。

女子寮もどこにあるのやら、男子には全く分からなかった。

そんなとき、アービンは偶然見てしまったのだ。
女子寮監督も兼ねているツォン先生がイデアと台所で話しているところを。
そしてそのツォン先生が、見えないハシゴを伝って
台所の天井へと帰っていくところを・・・

あんなところから・・・出入りするのか・・・・・・

明日は土曜日・・・学校自体は休みだ。
初めて迎える週末で、
子供たちも今日は少しぐらい夜更かしをするだろう。

そこでアービンは考えたのである。
なんとかして・・・女子寮に忍び込めないものだろうか、と。
一人ではとても行動できなかっただろうが、
ジタンならきっと一緒に来てくれる。

赤信号、みんなで渡れば怖くない・・・
僕は・・・どうしてもセフィと話したいんだ・・・・・・

しかし梯子を上ってはみたものの、そこで先生と鉢合わせしては元も子もない。
なんとかいい方法はないものかと二人は相談していたのである。
そんな二人の前に、意外にすばしっこくドッジに興じるシンラが目に留まった。

「あっそうだ、シンラ君に頼んでみようよ!」
「凄い天才っていうし、レーダーなんて簡単に作ってくれるよ!!」

それから10分後―――――

皆、体育館の中央に車座になって座り、
シンラが何やら作ってるのを見ていた。
ギップルが指示も出される前から、
せっせとどこからか部品を持ってきては、シンラに渡している。

結局二人の珍案は、
皆の知るところとなってしまい、
サイファーとギップルがハッピーアイスクリームで
「俺様も行くぜぃ!!!」と言いだしたのをきっかけに
それを聞いた雷神も行くと言い出し、
意外に好奇心旺盛だったバラライも行くと言い、
スコールは委員長としてついて行くと言い、 ←報告しないのか?
みんなが行くならゼルも行くとなったのである。

マイペースなアーロンとヌージだけが、
我関せず、と部屋に帰っていってしまった。
今日は二人で
オールナイトでオセロをする日だった。
野郎には野郎、女などにかまけてる場合ではない。
これが二人に共通した人生観であった。

さぁ、どうなる、こんな無謀な計画が果たして成功するのだろうか?

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