石の家 39話:白雪姫.2(学園祭編・その6)
2004/03/04 Written by ノア

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そして・・・その時舞台裏では、ちょっとした揉め事が起こっていた。

誰が王子役になるのか?

実は、まだ決まっていなかったのである。←ナニ!?
立候補したいものの、
照れくささも手伝い中々自分がと言い出せない。
そこへ、ツォンがやって来たのである。
何を血迷ったのか、
王子役は自分しかいない!と張り切りだしてしまい、
ちょっとややこしくなってきてしまった。

シーモア「なんで先生なんだよぉ〜。」
バラライ「そうだそうだ、これは子供で上演してるのにぃ。」
ツォン「メイチェン先生も出てるじゃないですか!」
ギップル「だってあの先生、年取りすぎて逆に子供みたいじゃないか。」
ダチ「そぉーそぉーー。」

王子役の金髪のカツラを巡って、
ツォンの出現で俄然、おれがおれがと皆手を伸ばす。
しかし、そうこうしている間に、
舞台上はもう、王子を待つだけの場面になってしまった。
カツラに夢中になってた皆はそれに気づかない。
反対側にいたエーコたんは、気が気じゃなかった。
オーラスなのに何やってんのよぉ〜!とヤキモキしていると
やっと袖から王子?が出てきた。
俊敏な身のこなし、美しい金髪・・・・・・
ん?カツラじゃなさそうだ・・・

おおおぉぉぉおおぉ!

物凄い観客たちのドヨメキに、
袖でまだカツラ争奪戦をしていた男子が、やっと舞台を見た。
そこには・・・。
物語の通り、白雪姫のユウナに、
ブチューーーとお熱いのを一発かましてる
ティーダの姿があった。

話の内容は知っていたが、
まさか本当にチューをされるとは思っていなかったユウナも
慌てて目をパチクリさせる。
それが、逆にいままさに黄泉の国から戻ってきたような表情となり、
観客たちからは拍手喝采が起こっていた。
そのまま煙幕がスルリスルリと降り、
石光の白雪姫は幕を閉じた。

そのカーテンの後ろではすごい事になっていた。
女子に囲まれ初キッスについて矢継ぎ早に質問されているユウナと、
アニキを先頭に今畜生と追い回されているティーダ・・・。

ティーダ「何だよ、あんなにいい役だったのにさ!」
「中々決まらないから、皆やりたくないのかと思って・・・」

ツォンが自慢のマシンガンでティーダに照準を当てていると、
その肩をヤンワリとイデアがつかんだ。
小さく左右に首を振られ、
その目がこれでいいのです、と圧力をかけてくる。

ああ・・・私の可愛い天使たち・・・
君たちの本当の王子はこの私なんだ・・・
私の口付けを受けたとき、
君たちは私の永遠の白雪姫になるのだね・・・

無邪気に今は、観客のアンコールに応えてる子供たちを見て、
ツォンは一人、これから先、まだ10人以上の女の子が、
みすみす食われるのを見なければならないのかと、
張り裂けそうになる胸を必死で押し殺していたのであった。

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