石の家 39話:白雪姫.1(学園祭編・その6)
直前の画面に戻る2004/03/04 Written by ノア

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エーコはいま、特設ステージの上にいた。
学園祭に訪れた全ての人々が見に来ているのでは、というぐらい
席は群集で埋め尽くされている。
この時間だけ、たこ焼き屋台は臨時休業だ。
ツォンはカメラ片手にウロウロしている。
舞台上からエーコがお辞儀した先には、
シド学園長を筆頭に、トワメルやマイカなど、そうそうたるメンバーが座っていた。
オダインなどは、かぶりつきで
今にも壇上に駆け上がってしまいそうな勢いだった。

「少しでも今日の学園祭に花が添えられたら幸いです。」
「エーコプロデュースによる石光の家版『白雪姫』、お楽しみください!!」

割れんばかりの拍手をあとに、
エーコが袖裏に引っ込んだ。
オダインがつまらなさそうに自分の席に戻る。
そしてスルスルと幕が上がり、舞台が始まったのである・・・

お妃(配役:シェリンダ)
「鏡よ鏡。この世で一番美しいのはだぁ〜〜〜れ?」
鏡(配役:ジタン)
「それは王妃、あなた様でございます〜」

シェリンダは、あの出来損ないの小林幸子の服をまた着ていた。
本人はいたく気に入っているらしい。
ああ、この鏡の役はジタンしか出来なかっただろう。
本当に素でこのセリフが言えるのだから大したものだ。

お妃「ふふ、そうだろう、私以上に美しいものなど・・・」
「ああぁ〜〜、しまった、白雪姫を忘れていたであります!」
「ここで美しいのはあなた様、この世で一番美しいのは白雪姫・・・ぐぇっ・・・」
お妃「んまっ!この私を差し置くだなんて!」
「あんな子、全然可愛くないじゃない!!」

シェリンダ、そのまま鏡の被り物をしていたジタンの首をギュウギュウ絞めながら
あんな子、森に捨ててきてやるわぁ〜〜〜!!と
息巻いたのであった。

お妃「いいわね、あの子を森の中で殺しておしまぃ!」
狩人(アーロン)
「フッ、悪いが他をあたってくれ。」
お妃「なんですって!妃の言うことが聞けないと言うの?!」
狩人「オレに白雪姫が殺せるわけがないだろう。」

アーロンに袖にされ、シェリンダが地団駄を踏んでいるところで、
スポットライトが誰かを照らし出した。
白雪姫(ユウナ)だ!
観客たちからは、そのあまりの可愛らしさに、
思わずホーーーーッとため息が漏れる。

お妃「こうなれば誰にも頼まぬわ。」
「自らの魔法で森へと追いやってくれる・・・!!」

シェリンダが呪文らしきものを口にすると、
ユウナを照らしているスポットライトがチカチカ点滅しだした。
目を回すようにつっぷしてしまう白雪姫・・・
そのままスポットライトも消え、一瞬壇上は真っ暗になった。

パッと照明が戻ったとき、
壇上のセットはもう森の中になっていた。
ユウナはまだ倒れたままだ。
そして・・・お馴染みの歌声「ハイホ〜♪」が聞こえてきた。

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