石の家 36話:ふたりはひとり.1(学園祭編・その3)
直前の画面に戻る2004/03/02 Written by サエ

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イデアの介添えにより、
1日だけ学園祭を楽しめることになった幽体シューイン&レン。
シューインはスコールを、レンはティナの体を借りることになった


エーコとレン、そして宿主のティナは
ビサイドガーデン主催の学園祭を意外と楽しんでいた。
気楽にあっちこっちの屋台を覗いているうちに
ガーデンの中心部へとやってきた。
そこでは大きな舞台が用意され、何か出し物が始まるようだった。

エーコ「あらら?素人喉自慢大会・・・、だって!」
「レンちゃん、出てみないっ!?」
レン「そうね〜〜、参加しちゃおうか!!」

ティナ『!!駄目よ、駄目っ!!』
『表面的には【私が】歌う事になるのよ!』
『・・・そんな、恥ずかしい事・・・絶対、嫌っ!!!』

レンの中にいるティナが慌てて抗議の声を挙げた。
レンが自分から離れた後に
もし歌を歌ってと言われても大変な事になる。

エーコ「あら、どうしたの?」
レン「ティナちゃんが恥ずかしがっちゃって・・・。」
エーコ「う〜〜〜ん、それもそうか。」

レンは、心の中にいるティナに語りかけるように静かに話し出した。

レン「今、私はティナちゃんの体を借りてるだけの存在なの。」
「ドレスフィアみたいな補助は出来ないのよ。」
「だから、歌う実力は元々ティナちゃん本来が持ってる力って事。」
エーコ「じゃ、レンちゃんが離れた後でも・・・」
「ティナちゃんも同じように歌えるってこと?」
レン「そういう事!」
「仮に、ティナちゃんが音痴だったとしても恥かくのは、今だけ!!」

ティナ『う〜ん、う〜ん・・・・・・』
『それなら・・・やってみてもいいかなぁ・・・・・・』

レン「そうこなくっちゃ!」
「人前で歌うのって気持ちいいのよ〜♪」
エーコ「ふふ、本人の了承は得られた?」
「じゃ登録に行きましょ!」

2人がバタバタと受付へ走っていくと・・・・・・
丁度、司会役のシド学園長が舞台へ上がった所であった。

シド学園長「皆さん、学園祭は楽しんで頂いておりますか?」

会場のあちこちから湧き上がる拍手を浴びて
シド学園長は満足げに頷いた。

「さて、この度、石光の家に伝説の歌姫が舞い降りたとの事。」
「本校との交流を図るため、その歌姫様を此度のスペシャルゲストとしてお呼びしております!」
「シェリンダ殿、ど〜〜ぞ〜〜〜!!」

会場からの割れんばかりの拍手の中を
シェリンダが堂々と歩いていく姿がエーコ達の目に飛び込んできた。
自前の衣装なのであろうか、
なんだか頓珍漢なド派手な着物をお召しになっている・・・。

エーコ「んまぁ〜〜、ちゃっかりしてるわねぇ・・・。」
レン「!?だ、駄目よっ、そんな暢気にしてる場合じゃないわ!」
エーコ「・・・え?どういう意味?」

シド「それでは早速ご披露いただきましょう!」
「シェリンダちゃんの、『ポケモン音頭』ですっ!!」

シェリンダは、ジャイアンも裸足で逃げ出すほどの
凄まじい悪声で浪々と歌い始めた・・・!!
会場の人々は雷に打たれたかのような衝撃を受け
拍手していたそのままの格好で固まってしまったのであった。
よく見れば、審査員として列席していたマイカ総老師は
もう既に魂が半分抜け出しかけているではないか・・・。

エーコ「ええっ!?ど、どうなってるの・・・!?」
レン「あの子には、鼻から歌の素質なんてないのよっ!」
「私のドレスフィアのお陰で上手に歌えてただけなのっ・・・!」

シェリンダ本人は、終始ノリノリで歌っている。
だが、会場ではどんどん魂が抜けていく人々が続出しはじめた・・・。
このままでは学園祭は、いやビサイドガーデンは、
その短い生涯を終えてしまうだろう・・・。
そこへ援軍の天使達が列挙して押し寄せてきた!
光の家の生徒達である!!
ベアトリクスを筆頭に、数人の女子が舞台に駆け上がり
シェリンダにさるぐつわをかませて引きずり下ろしたのであった。
しかし、時既に遅し・・・・・・
会場の人々は、もう誰も、息を吹き返さなかったのである・・・。

リュック「あ〜あ〜!?ど、どうするぅ〜〜!?」
パイン「このまま帰ったら・・・やっぱ、マズイかな。」
ユウナ「じゃあ・・・・・・異界送りしておこうか?」

全員、慌てて首をブンブン横に振る。
天然2号か・・・?

エーコ「レンちゃん、なんとかならない!?」
レン「わかった、やってみる・・・!」

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