石の家 34話:学園天国(学園祭編・その1)
直前の画面に戻る2004/02/29 Written by ノア

今日もビサイド島では盛大な花火があちこちであがっていた。

「全くやることが派手と言うかなんというか・・・」
「子供たちに変な影響を与えないでしょうか。」

ツォンがブツブツと愚痴るのをイデアはやんわり受け流した。

「よろしいじゃありませんか。」
「私たちの家だけではとてもこんな大規模には出来ませんよ。」

イデアとツォン、そして石光の家の生徒達は、
またもやお隣の新設ビサイド・ガーデンに居た。
子供たちは皆お揃いのハッピをつけて走り回っている。
前は物々しいハイテク学園と言う印象だったが、
所狭しと並べられている「屋台」のおかげでかなり微笑ましい雰囲気となっていた。
どうしてこんな事になっているかというと。

教師陣だけでなく、その生徒も親も
【石光の家との接触】を熱望するあまり、
なんと開校早々というのに学園祭開催という暴挙に出たのである。
しかしそこはみなの意気込みが違う。
短期間で見事に立派な学園祭を立ち上げていた。

こうして万全の準備を整えてから、石光の家に連絡が入った。
なにか屋台出展と言う形で参加しませんか、というご招待である。
食材も出店スペース確保も何もかもガーデンの方で用意するので、
何の屋台を出したいかだけ言ってくれればいいという
まさに破格の扱いであった・・・。

シンラを筆頭にマニアックな意見も出たのだが、
全員が普通に楽しめるということで、
無難に【たこ焼き屋】ということで落ち着いた。
ツォンはこれはチャンスだ!!と
夜なべして女生徒全員分のふりふりエプロンを作ったのだが、
当日のそれを見た子供たちの目は冷たいものであった・・・。
ユウナレスカだけが、それ着てもいいよ♪と
涙がちょちょぎれるようなことを言ってくれた。

しかしそれもほんの束の間の事。
イデアがジェクトと一緒に男子に半被を配りだすと、
女子もそっちの方がいいと言い出し、
全員そのままイデアの方に行ってしまったからだ。
ユウナレスカも男子が
ジェクトのように頭にねじり鉢巻きを締め出すのを見て、
きゃああぁあ♪とアッサリと走り去っていったのであった・・・。

ジェクトの息子というのも手伝ってか、
ティーダの女生徒の中での人気は中々のものであった。
特にブリッツの授業のときは、さすがに一番声援が多い。
例えジェクトが居ないときでもそれは一緒だった。
今はユウナが、ティーダに直々に、
ジェクト式ガハハハの笑い方を習っていた。
アービンはセフィと一緒に嬉しそうにたこ焼きを作っている。
意外に器用なティナが、スコールに上手に丸める方法を教えていた。

「じゃ、みんな集まって。基本的に自由行動です。」
「自分の担当時間のときは、ここに戻ってきてたこ焼き、焼いてくださいね。」
「は―――い!」

たこ焼きを焼き始めていた4人を残して、
子供たちは三々五々に散っていった。
ビサイド・ガーデンの子供たちも、
それぞれのお目当ての子供たちのあとを追っていく。
無論、教師陣たちはイデアがフリーになるのを
柱の影から今か今かと待ち構えていた。
その中にはもちろん、トワメルの姿も・・・・・・
おや、トワメルが居ない。
一体どうしたというのか?

実は前日、あまりの興奮で明け方まで寝れず、
一人寝坊をしていたのである。
今まさに、アタフタとトワメルが出てきた。
焦ってるあまり自慢の髭にも寝癖がついたままだ。
しかしそれが幸いしたのか、
ビサイド・ガーデンに来た本来の目的、
麗しのシーモア様とばったり鉢合わせすることが出来た。

「お、おおおぉっ!シーモア様・・・・・・!!」
「よっ!!元気か?」
「シーモア様・・・なんだか逞しくなられたような・・・・・・」
「あそこは領主も王子も関係ないからな。自分で自分を守らなくっちゃ。」
「はっ・・・!!!シーモア様・・・そそそその方は・・・・・・」

トワメルの目は、シーモアの隣にいる女の子に釘付けになってしまった。
シーモア様が・・・手を・・・!手を、繋いでおられる・・・!!
トワメルの視線の先に気がついて、
さすがにシーモアも少し照れくさそうだった。
青く透き通るような肌のその美少女も、
気のせいかホンノリ頬が赤くなったようであった。
この前知らん顔してた罰だ、教えないよぉ〜だ
トワメルにペロリと舌を出しながらそう言うと、
シーモアはその少女と駆けていってしまった。

シーモア様・・・あの学園に行かれて、
ますますご立派になられた・・・・・・

思わず左手の袂でそっと涙をぬぐった。
一瞬視界を奪われたためか、
ドスンと誰かにぶつかってしまった。
自分の腰に当たった感じからして子供のようだ。
足元でジタバタしてるようなので慌てて抱き起こしてあげようとすると・・・

「そっちでないでおじゃる!」
「いや、こっちでごじゃる!」

トワメルは立たせてあげようとするのだが、
ソーンもゾーンも二人して道端に寝転んだまま
お互いに猫パンチを繰り出しているので中々手が出せない。

「紐様はこっちでおじゃる!」
「エーコたんはあっちでごじゃる!」

まぁ・・・いいか・・・・・・

トワメルは黒だかりになってる屋台を見つけ、
きっとあのお方がいらっしゃるに違いないと思い、
そのまま奇妙な二人をうっちゃって歩き出した。

大人も子供も恋の花咲く季節♪
みんな、学園祭をエンジョイしてるかな?

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