石の家 29話:Finding 二匹(開校編・その5)
直前の画面に戻る2004/02/25 Written by サエ

サイファー「うぉ、なんて広いんだ・・・!?」
雷神「迷子になりそうなんだもんよ・・・」

ビサイド・ガーデンは円形状の巨大な校舎であった。
一歩足を踏み入れた瞬間、
その圧倒的な広さに一同は思わず足が止まってしまう。

ティーダ「お、あそこに誰かいるぞ?」
トーブリ「はいはい、いらっしゃい!」
「ええ、これは学園案内掲示板ですよ!!」
アーロン「この中はどうなっているんだ?」
トーブリ「ういうい♪わたしが説明しますとも、ええ!!」

ビサイド・ガーデンは6つの主な施設を備えていた。
保健室、食堂、寮、図書館、そして
オダイン魔法研究所とルカだ。
ブリッツの練習のため、ここから直接行き来できるらしい。

スコール「ここを双子が通らなかったか?」
トーブリ「ういうい〜♪ええ、通りましたとも、確かにねっ!」
サイファー「そいつらどこへ行ったんだ!?」
トーブリ「ういう〜・・・えっ!?さ、さあ・・・?」
「わたしにもわかりかねますねぇ、ええ!(キッパリ)」
ギップル「手分けして探した方が早ぇ〜なっ。」

こうして男子は4つのグループに別れ、各施設へと散っていった。
保健室には、白衣を着た中年女性がいた。

カドワキ「あら、もう怪我したの?」
ビビ「え、いや、そういうわけじゃないんだけど・・・」
アービン「ここに誰かこなかったかなぁ?」
バラライ「すっごい目立つ双子なんだ。」
カドワキ「ここへ来た初めてのお客さんは彼方達よ。」
ジタン「なるほど・・・で、貴女がここの担任ですね?(キラっ)」
カドワキ「やだよ〜この子ったら!」

といいつつ、満更でもない様子のカドワキ先生、
奥からとっておきの和菓子なぞ出して小さなお客さん達をもてなし始めた。
のんびり屋の集まりでもあったこのグループは
双子探しゲーム(だったのか?)から早々に脱落したのであった。

そして食堂では・・・
バターの焼けた、とてつもなく甘く危険な香りが
一同を待ち受けていたのであった。

ゼル「美味そうな匂いだ・・・(くんくん)」
マスター「いらっしゃ〜い。パン、食べてく〜よ?」
雷神「食べてもいいんだもんっ!?」

焼きたてのパンを山のように目の前におかれ
がっつくゼルと雷神。
スコールとサイファーも思わず手が伸びる。
幻のパンの原型がここにあったとは!? (←嘘、ごめん)
こうしてこのグループもまんまと足止めをくらってしまったのであった。

一方、全寮制に侵入したグループは・・・

シンラ「予想以上に快適だし。」
アニキ「凄いなぁ、ここ一人で使えるなんて・・・」

子供達は完全個室制のフカフカのベッドの上で思わず
トランポリンに興じる。

ギップル「おっと、いけねぇ!遊んでる場合じゃねぇぞ!!」
ダチ「この膨大な数の個室から、探すのか?」
シンラ「・・・不可能だし・・・」
ギップル「だよなぁ・・・いなかったことに、するか!」
アニキ「駄目だ!絶対、ここにいるぞ!!」
ダチ「なんでわかるんだよ?」
アニキ「俺の勘が、そう訴えているのだっ!!」
シンラ「・・・愚かだし・・・」

ギップルに変な対抗心をもったアニキが
執拗に寮捜索に固執したため
アルベドグループは当分ここから離れられなくなったのであった。

そして残りの子供達は図書館へ向かっていた。
その圧倒的な蔵書の数々を目の当たりにし
勉強家のヌージとシーモア君はついつい本に手が伸びてしまう。
双子探しよりも名書探しに夢中になってしまった様だ。
考える事より体を動かす方が得意なアーロンとティーダは手持ち無沙汰になり
ブラブラとあてどもなく図書館内をうろついていた。

ティーダ「あれ、この奥に別室があるぞ?」
アーロン「視聴覚室・・・か。ルカシアターみたいな所だな。」
ティーダ「俺、本よりも映画の方がいいなぁ!」
アーロン「あの二人、当分ここから動かないだろうし。」
「ちょっくら、覗いてみるか。」

2人は視聴覚室内へと移動していった。
何気に、先客の見ていた映画を背後から覗いてみるとそこには

ティーダ「あ!?ザナルカンドだ!?」
アーロン「馬鹿、大声出すなよっ・・・!」
ソーン「五月蝿いのでおじゃる!」
ゾーン「静かにするでごじゃる!」

愛の究極召喚スフィア(*)に夢中になっていた双子はその邪魔をされ、
憤慨して振り返った。
(* ゼイオンとユウナレスカの寝室盗撮スフィアの意)

思わぬご対面にしばし固まる4人・・・。
双子は慌てて逃げ出したが
あっという間に首根っこを掴まれ外へと引きずり出されてしまった。

他の男子も既に戻ってきており、丁度
お土産でもたせてくれたパンを配る雷神とゼルの姿があった。

サイファー「は〜〜!?みふけはれたった!」
「(あ〜!?見つけられちゃった!)」
ジタン「ほこにひはんはよ(何処にいたんだよ)。」
ギップル「くひほはっへはらはべほよ(食い終わってから喋れよ)。」

食欲を満たされ、どうやら男子の中の闘争心はやや軽減されていたようだ。
皆、もの珍しそうに双子を取り囲む。
とはいえ、15人以上もの生徒達が壁となるので
中心にいるソーンとゾーンは生きた心地がしない。

ソーン「あれは、誘拐じゃないでおじゃる・・・」
ゾーン「ほんの、戯れだったのでごじゃる・・・」
アーロン「どうだかな。なんか魂胆があるに違いない。」
サイファー「さあ、吐け!吐けったら吐くんだ!!」

「やめなさいよ!!」

男子がびっくりして後ろを振り返ると
女生徒を引き連れたエーコが腰に手をやりながら仁王立ちしていた。

バラライ「でもこの人たち、君を狙ってたんだよ?」
エーコ「そうかもしれないけど・・・どうみたって、今は、」
「あなたたちが虐めてる用にしか見えないのだわ。」

その言葉は、男子にとっても耳が痛かった。
屈強な男を相手にしているならいざ知らず、
この双子は吹けば飛ぶような小人である。
双子は、こんな自分達を庇ってくれるエーコの中に天使を見た。

ソーン「エ、エーコたん・・・?!(うるうる)」
ゾーン「うっうっ・・・やっぱり、ファンでごじゃる・・・」

双子は、聞かれもしないのに
オダイン博士がエーコたんの秘密を知りたがっていたことを
ペラペラと喋りはじめた。

シーモア「なるほどねぇ。道理で、魔法関係の書物が充実してたわけだ。」
ヌージ「この学園からは、オダイン魔法研究所にも直接行けるしな。」
ソーン「ソーンはエーコたんの騎士になるのでおじゃる!」
ゾーン「ゾーンはエーコたんのファンになるでごじゃる!」
ギップル「ま、とりあえず・・・、問題は解決した・・・か?」

それでいいのだろうか・・・?
と、一瞬全員が考え込んでしまった時。
素っ頓狂な声が後ろから聞こえてきた。

「ほえ、ほっえもほひいいほ(これ、とっても美味しいよ)〜♪)」

振り返ると、ユウナレスカがお土産のパンを口中にほおばって
嬉しそうに笑っていた。
子供達はその姿につい笑みをこぼす。

雷神「ああ〜、全部食べないで欲しいんだもんよ〜〜!?」
ティーダ「俺、まだそれ食ってないッス!」
サイファー「よぉおおおし!大食い競争だ!!」

それを合図にパン争奪戦が開催された。
双子も仲間にいれてもらって、とても楽しそうだ・・・!
こうしてーーー
ビサイド・ガーデンは無事、開校したのであった。

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