石の家 21話:神様ヘルプ!.1
直前の画面に戻る2004/02/02 Written by ノア

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ゼル「ううーーーん・・・困ったなぁ。」
シェリンダ「やだーやだー、帰りたいよぉー!」
ユウナレスカ「・・・・・・・・・・・・」
風神「我々、今、行方不明・・・」
シェリンダ「お腹空いたーーー!喉が渇いたーーー!!」
バラライ「なんとか、連絡つけたいねぇ。」
シェリンダ「ここから出してぇー!誰かーーー!!」
風神「五月蠅!!!!」
ユウナレスカ「・・・ハッ。え、なになに、どうしたの?」

ヨダレを拭きながらユウナレスカが顔を上げると、
風神がシェリンダの口を手で押さえつけていた。

子供たち5人は今・・・なんと囚われの身となっていたのである。

ドアも窓も何もない四方が壁だけの部屋・・・
ただ一つ、天井だけはポッカリとあいていて、
抜けるように青い空が顔をのぞかせていた。
しかしその高さは3メートルほどあり、
子供たちの背ではとても出られそうもなかった。

見上げた空は恨めしいほどにいい天気で・・・
その雲もゆっくりと流れていた。
どうやら風のせいだけでもなさそうだった。
子供たちが入れられているコンテナは・・・
どうやら船に積まれているらしく、
その船も、現在移動中のようであった。
唯一、外とのつながりである天井を見上げていると、
二つの顔がそこから覗き込んできた。

ソーン「うまくいったでおじゃる・・・」
ゾーン「抜かりはないでごじゃる・・・」

びーーーっ、びーーーーっ、びーーーっ

船内にけたたましい音が鳴り響いた。
奇妙な格好をした双子はアタフタと頭を引っ込めた。
どうやら・・・どこかからの無線だったらしく、
少し離れたところでカチャカチャと機械をさわる音が聞こえてきた。
ウィィン、という音とともに、
二人の目の前には巨大スクリーンが現れ、
コンタクトを取ってきた本人が映し出された。

オダイン「うまくいったでおじゃるか?!」
ゾーン「大成功でごじゃる!!」
オダイン「傷や怪我などしてないでおじゃろうな?」
ゾーン「大丈夫でごじゃる!!」
オダイン「で、エーコたんは居るでおじゃろうな?」
双子「・・・・・・・・・」
オダイン「エーコたんは、い・る・で・おじゃろうな?」
双子「ZZZzzzzzzzzzzzz・・・」
オダイン「おじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃ!!」

ソーンとゾーンは、オダインの言いつけで
石の家・光の家の子供を誘拐することになっていた。
ナギ平原での一大イベントはいまや、
スピラ中の噂になっており、
更にはよその地にもその名を轟かせていた。

オダイン「誘拐して身代金を頂くでおじゃる!」

なんとか無理難題をクリアした
二人のおふざけピエロであったが、
肝心なエーコたんが入ってるかどうかは不明だった。

ソーン「(ひそひそ)そういえば・・・言ってたでおじゃる・・・」
ゾーン「(こそこそ)角がある子・・・と言ってたでごじゃる・・・」

チラリと画面を見ると、
エーコたんの角に異常に興味を示していたオダインは、
目を血走らせながら、ただただ、
おじゃじゃじゃじゃ・・・と言い続けていた。
直接子供たちに聞きにいこうと、
双子はまた、コンテナにやってきた。

ソーン「この中にエーコたんは居るでおじゃるか?」
ゾーン「その中に角っ子は居るでごじゃるか?」

急に上から呼びかけられて、
一斉に子供たちがまた、天井を見上げた。

ソーン「はっ!角でおじゃる・・・」
ゾーン「あっ!角でごじゃる・・・」

双子が見つめる先はユウナレスカ・・・
ユウナレスカの寝癖でピンと立った前髪だった。

シェリンダ「この中にエーコなんて・・・むぐぐぐぐっ」
風神「静粛!!黙!!!」
バラライ「・・・い、いるよっ。」

お笑いピエロ二人組はまた慌しく頭を引っ込めると、
画面でまだ「おじゃじゃじゃじゃ・・・」
と 言い続けていたオダインに報告した。

ソーン「ちゃんといるでおじゃる!」
ゾーン「角を確認したでごじゃる!」
オダイン「おじゃじゃじゃじゃ・・・・・・・・・そうでおじゃるか。」
「よし、じゃ、例の場所で待ってるでおじゃる。」

やっと機嫌の直ったオダインは、
自分からモニターを切ったのか、
目の前のスクリーンがシュンと消えた。

ソーン「後もう少しで例の場所につくでおじゃる。」
ゾーン「危ない橋を渡るのはそこまででごじゃる。」
ソーン「食べ物を出すでおじゃる!」
ゾーン「飲み物を出すでごじゃる!」

双子は子供たちの食事の用意を始めた。
支度が出来るとシューターに人数分の食事を押し込んだ。
しばらくすると、子供たちのコンテナの壁の一部が
ガチャリと大きな口を開き、そこから食事や飲み物が出てきた。

ユウナレスカ「♪カレーだカレーだカレーだカレーだ♪」
シェリンダ「レトルトカレーなんて美味しくないのにぃーーー!」
風神「!!!」

風神のオーラが殺気染みたのを感じて、
シェリンダは渋々とカレーに手を付け出した。

ゼル「誘拐されてんだからな、贅沢言うなよ」
バラライ「そっか・・・とりあえずは、こっちの希望も・・・通るかな?」

バラライは何か策を思いついたようだ。

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