石の家 20話:Can't Take My Eyes Off Of You.2
2004/01/29 Written by ノア

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アニキの側にはもちろんダチが・・・いない。
ダチは「マキナ」と書いてある欄に署名したといっていた。
アニキは、全く持って不埒な動機で、
ユウナが選びそうな授業を選んだだけであった。
角のある少女は、そんなアニキの心のうちも見透かしているようで、
ただただ、居心地が悪かった。

でも・・・でも・・・ユウナがあんなにそばに・・・

エーコの前でカードをめくると、
そこには蒼く発光しているような、
まさに透ける肌の絶世の美女が微笑んでいた。

「わおっ!シヴァちゃんだわ。氷の女王さまよ。」

アニキは、カードを見つめながら一生懸命集中した。
カードを見れば見るほど・・・美しいその女性が
どうしても・・・ユウナに見えてしまう。

シヴァ・・・シヴァ・・・
こ・・・この人、水着・・・なのかなぁ、これ・・・
水着・・・水着・・・ユウナの水着姿・・・・・・

これではとてもシヴァが出てくるわけがない。
と、思ったのだが。
ものの10秒もしないうちに、辺りは氷一面となっていた。
そして憤怒の形相でシヴァが現れた。

氷のはずなのに・・・なんで熱いんだ?
もしかして・・・すごく怒ってる???

確かにシヴァは怒っていた。
イデアの頼みで、
学園の子供の要請は最優先ということになっていた。
その事はエーコにも伝えてあった。
少々非力な要請でも、
シヴァの方が完全にチャンネルをオープンにしているので、
コールさえ起こればすぐ出動できるようになっていた。
そう、今回このシヴァカードは・・・完全なる安パイだったのだ・・・。

な・・・なんたる侮辱!!!
こやつめ、ユウナなる者のことしか考えておらぬ!

仮にも召喚したのはアニキなので、
シヴァのほうにもアニキの思うことは筒抜けになっており・・・
ユウナの水着姿を想像し
ニヘラニヘラと鼻の下を伸ばしているアニキが許せなかった。

シヴァは頼まれもしないのに、
アニキ相手にダイアモンドダストまで披露してくれ、
パチリと指を鳴らすと、勝手にサッサと帰ってしまった・・・。


元の世界になるとあとに残されたものは・・・
そこら中に散らばってしまった美しい氷のカケラ・・・
・・・アニキのカケラ・・・・・・

ひぃいいいぃいぃぃ!!


粉々に砕けたアニキを見て子供達は悲鳴を上げたが
エーコだけは何事もなかったかのように
フェニックスの尾をポケットから取り出し、
アニキに・・・幾千にも散らばった美しいカケラに投げた。
優しい光が一瞬辺りを照らし、
アニキが元の体になって起き上がった。

「んんんん、もぉぉおおおぉっ!!!」
「エーコの言うことなんて、なーーーんにも聞いてなかったでしょ!」
「アニキ君には召喚士は無理なのだわっ!」
「今日の講義はもうこれで終わりっ!!」

哀れ、アニキ・・・
憧れのユウナとの授業が一つ減ってしまった。
でもきっと、君の名前はちゃんと覚えてもらえたはずだぞ!
見ろ、心配そうにユウナが君のことを見て声をかけてきた!!

「あ、あの・・・アニキさん?大丈夫ですか?」

いや、心配・・・興味があるのはユウナだけではなさそうだ。
なんといっても目の前で異界へ逝って、そしてまたここへ戻ってきたのだ。
子供たちが鈴なりになっていた。

シーモア「ねぇねぇ、どんな感じだった!?」
ドナ「あらあら、あんた中々やるじゃない・・・」
シェリンダ「ひょっとしてそのシなんとか、って誰でも呼べるんじゃないの?」

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