石の家 20話:Can't Take My Eyes Off Of You.1
直前の画面に戻る2004/01/29 Written by ノア

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「いい〜?召喚獣を召喚するには、つっよ〜い精神力が必要なの。」
「まずは、みんなの適性チェックするわねぇ〜」

そういってエーコは、
子供たちに1枚ずつトランプほどのカードを配った。

「このカードは特別製なのよ。」
「世の中に2枚と同じものは存在しないの。」
「注目ポイントは、これ!」
「誰でも、どの召喚獣を呼び出せるんだけど、既に召喚中のものは無理って事。」
「ではまず、ヌージ君!こちらへ。」

トップバッターで指名されたヌージは、
さすがに緊張した面持ちでエーコの前まで歩いていった。
エーコが促すのを見て、自分のカードを見てみる。
そこには、今にもその咆哮が聞こえてきそうな、
炎に包まれた獣が描かれていた。

「それがイフリート君、燃えるいい男よ。」
「じゃあ〜ヌージ君、そのイフリート君に集中してみて。」
「精神を集中してカードの中のイフリート君と、」
「お話をしたい、交流したい、って思ってみて。」
「うまくいけば・・・ここに来てくれるかもよっ!」

ヌージは、イフリート、イフリートと呟きながら、
そっとまぶたを閉じると、意識をイフリートに向けてみた。
精神を集中させる・・・・・・。

気のせいか、自分の周りが朦朧としてきたような気がする。
自分は熱くないのだが、地面の底から・・・
徐々に火の手が上がってくるような感じだ。
ヌージを中心にして・・・ ドーナッツ状に、地面がドロドロと溶け出した。
見ていた子供たちも驚嘆のまなざしで見ている。
おおぉ・・・というため息が聞こえ、
ヌージはつぶっていた目をそっと開けてみた。

目の前の固い岩盤がドロドロにとけて、業火が口を開いていた。
まるで地獄の釜の蓋が開いたようだ。
それでいて・・・自分にはなにか、膨大なパワーが
注入されてる感じがする。
今・・・今ここで、何か呪文でも唱えれば、
すごい技が出来るのではないか・・・・・・

そんなことを思った瞬間、
嘘のように目の前の風景が変わった。
何もない岩盤、呆然としている子供たち・・・。

「ああぁ〜〜ん、惜しいなぁ!」
「今、一瞬だけど関係ないこと考えたでしょぉ〜」

エーコに見透かされ、ドキリとしたのはヌージ本人だけで
他の子供たちは素直に賞賛の拍手をして、
輪の中に戻ってきたヌージを讃えていた。

シーモア「ねぇねぇ、どんな感じだった!?」
ドナ「あらあら、あんた中々やるじゃない・・・」
シェリンダ「ひょっとしてそのイフなんとか、って誰でも呼べるんじゃないの?」

エーコ「し〜〜〜ず〜〜かぁ〜にぃ!」
「じゃあ次、ユウナちん、いってみよぉ〜!」

ユウナも同じように緊張しながら、
エーコの前まで来てからカードをめくった。

「ほむほむ、イクシオンちゃんね。じゃあ〜っ、始めっ!」

ユウナも、ヌージのように両目をつぶり、
一生懸命集中しだした。
すると今度は、ユウナの周りを暗雲が立ち込めてきた。
スパークが既に漏れている雷雲がユウナの上空まで上がると、
そこから・・・角が現れてきた!!
子供たちはただただ、呆然と見つめるだけだ。
その角は徐々に暗雲から突き出していき・・・
また、同じくらいの速さで雲の中に戻っていってしまった。
完全に角が隠れたところで、先ほどのヌージのように、
突然元の世界に戻ってしまった。

「きゃあああ♪ユウナちん、筋がいいわん!!」
「最初から完璧になんて呼び出せないんだから、」
「今のは本当にいい感じだったのよ!がんばってね!」
「はい次、アニキ君!前へ〜〜〜」

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