石の家 18話:ボディガード.3(遠足編・その3)
2004/01/28 Written by サエ

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ツォン「こんな男に私の生徒達を任せるなんて、出来ません!」
「美しい妖精達が堕天使になってしまいます!!」
ジェクト「んだと、ゴラ〜〜!!」
「俺様の血と汗と涙の結晶の我が息子を馬鹿にしてんのかっ!?」

それはそうだ。
ジェクトが手塩にかけたティーダ少年は
闊達で明るく、真っ直ぐな少年として逞しく成長している。
イデアはしばらく考えた後

イデア「ではジェクトさんは臨時講師といたしましょう。」
「貴方には、ここザナルカンドでのお勤めもありますからね。」
ジェクト「なんでぇい、別に俺様は移住してもいいっつう〜の。」
イデア「そういうわけには参りません。」
「この条件が呑めないなら、この話はなかったことに・・・」
ジェクト「!!う、嘘、臨時でもいいですっ!!」
イデア「それでは、皆、そろそろ帰りますよ。」

来た時同様、
唐突に全員は光の大瀑布に飲み込まれる。
意識は朦朧とし、気が遠くなっていく・・・


ワッカ「駄目だ・・・おりゃ、もう、目が見えねぇ・・・」

またもや手探りするワッカにルールーの愛のフライパンが飛ぶ。
気が付けば、そこは
見慣れた我が家・ワッカの豪邸であった。
子供達も食卓でキョロキョロ辺りを見回している。

ルールー「なんだか・・・夢を見ていたみたい・・・」
ジェクト「がっはっはっはーーー夢なんかじゃね〜ぞっ!!」

大胆にもジェクト、背後からルールーの両桃をワシ掴みにする・・・。
大混乱に陥った豪邸を抜け出したイデアの後を
メイチェンがついてきた。
二人は無言でビサイドの海岸まで散歩する。

メイチェン「いやはや・・・聞きしに勝る魔力ですなぁ〜。」
イデア「お恥ずかしいですわ。」
メイチェン「おかげさまで、1000年ぶりに彼の地を踏むことが出来ましたわ。」
「その偉大な方と握手させてもらってもよろしいですかな?」
「おお・・・ありがたい、ありがたい。」
イデア「ジェクトさんはこっちに来ても大丈夫かしら?」
メイチェン「はいなぁ〜。イデア様のお陰ですから、文句はいいますまい。」
「まぁ〜、たまにはあっちへ返してやってはいかがですかな。」
イデア「そのつもりです。このことは皆には内密に・・・」
メイチェン「勿論ですとも。ではアタシは先に戻りますな。」
「そろそろ、講義(就寝)の時間ですので。」

イデアはメイチェンの後姿を眺めながら
白魚のような指でそっと自分のうなじにあるホクロにふれる。
・・・ん?
抜けるような白い肌のイデアにホクロなんてあったか?
そう、これはホクロではなく、エボン=ジュであった・・・。


エボン=ジュは、永遠に夢を紡ぐ者。
その夢を守る鎧としてシンをつくりだしたのだが
シンは暴れ者でスピラ中を破壊と殺戮の恐怖に陥れていた。

そこへイデアが現れたのである。

彼女の魔力を持ってすれば、シンとならずとも
エボン=ジュは安らかな夢を見ることができた。
『イデアの中で』ザナルカンドを召喚させることで
誰にも迷惑をかけることなく、永遠の夢をついに手に入れたのである。

この夢のザナルカンドでは、ジェクトは欠かせぬ存在である。
だが、庇護者であるイデアの希望では致し方あるまい。
時々は、お里帰りしてもらえるみたいだし。
こうしてエボン=ジュは
イデアに見守られながら今日も安らかな眠りについたのであった・・・。

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