石の家 17話:路地裏の少年(遠足編・その2)
直前の画面に戻る2004/01/27 Written by サエ

街外れは港になっており、無数の船が停泊していた。
どうやらザナルカンドの人々の中には
船を住居として構える人もいるらしい。
一番奥には、一際立派な帆船が停泊していた。
その前でブリッツボールで遊ぶ人影がある。

ジタン「あっ、さっきの優勝チームのユニフォームだ!!」
ゼル「いいなぁ〜、俺も欲しいなぁ・・・!」
スコール「でもあれ、子供じゃないか・・・?」

近づくにつれ、ブリッツボールの練習をしているのは
少年であるとわかった。
間違いなく、先程のエイブス・チームのユニフォームを着ている・・・!!
まさか、あの少年も選手の一人なのか!?
だが、そのユニフォームは若干、試合で見たものとは違っていた。
少年が動きやすいよう、短パンになっており
背中からは可愛らしく白いパーカーが顔を覗かせている。
ワッカがその少年に声を掛けようとした時。
少年はジャンプ一発、
先ほどのジェクトシュートを華麗に決めて見せた・・・!!

ワッカ「!!おっ、お前・・・もっ、もっかい、今のやってみ!?」
少年「ん?いいよ!!」

少年は軽々と宙を舞い、マストに一回二回と強烈なシュートを蹴った後
更に空高く舞い上がって豪快なシュートを放ち
ブリッツボールは暗い海の彼方へ星となって消えていった。
子供達は大喝采だ!
幻のシュートをいとも簡単にこの少年はやってのけたのだから
無理もない。

ワッカ「おっ、お前、名前なんてぇ〜んだ!?」
少年「俺はティーダ!」
「ザナルカンド・エイブスのエース!!」
サイファー「なっ、なんだと!?」
ティーダ「へへへ・・・将来の、だけどな!」

ティーダ少年は金髪の前髪をかき上げながらニヤリと笑って見せた。
だが、彼の実力ならそれも納得だろう。

アービン「ねぇねぇ、その服・・・」
シーモア「君、それどこで買ったの!?」
ティーダ「これ、正真正銘、ザナルカンド・エイブスのユニフォームなんだ!」
ゼル「マジ!?くぅ〜〜、羨ましい!」
スコール「なあ、どうやって手に入れたんだ!?」
ティーダ「俺の親父が自分のをくれたんだ。」
「これに見合うだけの実力を早くつけろってさ。」
ワッカ「お前の親父って・・・ま、まさか・・・」
ティーダ「ジェクトってんだ。」
「ザナルカンドで最高のブリッツプレイヤーなんだぞ!」
シーモア「それで・・・ジェクトさんだけユニフォーム着てなかったんだ・・・」
サイファー「うあああぁぁあああぁ!羨ましすぎるっ!!」
雷神「おおお、オイラ、せめてサイン欲しいんだもんよぉ〜」
ワッカ「ティーダ、その技はどうやって習ったんだ?」
ティーダ「自分で覚えたさ・・・なんて、嘘々。」
「親父が手取り足取り教えてくれたんだ。えへへ。」
サイファー「ぐああああーーー!」
「お・・・俺をお前の弟にしてくれっ!!」
ティーダ「勘弁してくれよぉ。」
「俺、母親だけでいっぱいいっぱいなんだからさぁ〜。」
ジタン「なんだそりゃ?」
ティーダ「俺、母親いないんだ。つうか、毎晩、違うんだよな〜」
ワッカ「!!お・・・大人の事情って奴だな・・・(汗)」

ティーダ少年は、この豪華帆船で
ジェクトと二人暮らしをしているそうだ。
母親と名乗る女性は毎晩、現れるのだが
その女性が同じ人物であった例は一度もない。
実際問題、本当の母親が誰なのか
ジェクト本人でさえわからないらしい。
しかし、ティーダはあまりその事は気にしていないようだ。
偉大なる父と一緒に過ごし、
ブリッツボールを教わることを何よりも楽しんでいたのだ。

シーモア「僕達にもその技、教えて欲しいなぁ・・・」
サイファー「お前も俺たちの学園に来いよ!」
「そんで俺の弟に・・・」←(?)
ティーダ「う〜ん、親父に聞いてみないと・・・」
ワッカ「そ、それもそうだな。」
「じゃ、ジェクトさんに会いに行くか!!」

子供達は、既に
ティーダを学園の仲間として受け入れているようだった。
しかしワッカにその権限はない。
とりあえず、イデアとジェクトを探さなければ・・・
大騒ぎの子供達を引き連れて、
集合場所のザナルカンド中心街へと戻るワッカ班なのであった。
【「ボディガード」へと続く】

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