石の家 16話:眠らない街.2(遠足編・その1)
2004/01/27 Written by サエ

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全員周りの光景に圧倒され、未だに言葉を失っているようだ。
皆黙ってうなずくと
放心状態のまま、イデアの後を大人しく付いていく。
歩いているうちに、子供達はようやく雰囲気に慣れて来たようだった。

シンラ「これ・・・・・・凄い文明だし。」
ギップル「だよな!?アルベド族でもこんな機械知らないよなーー!」
アニキ「ふん、お前でも知らないことあるんだな!」
ダチ「お前だって、知らねぇだろうが・・・・・・」
アニキ「ふんふんふんっ!!」

ザナルカンドを歩く人々は、皆、同じ方向へ興奮気味に歩いていた。
その波に沿うようにイデア一行も歩いていると
目の前に巨大なブリッツスタジアムが姿を見せた・・・!
ワッカも思わず唸り声を挙げる。
そのスタジアムからは、
重低音のロックナンバーがビンビンに流されていた。
場内は、その音楽さえかき消されるぐらいの
観客の割れんばかりの大歓声で満ち溢れ
DJがこれから始まる試合の模様をひっきりなしに伝えていた。

「東A地区のエイブスと、南C地区のダグルス!」
「今日こそ、あの幻のシュートが炸裂するのか!? 」
「期待するなってのが無理だよなぁ〜〜〜!」

どうやら、ザナルカンド・エイブスとダグルスの優勝決定戦のようだ。
黄と黒を基調とするユニフォームがエイブス、
ワインカラーと黒がダグルス・チームらしい。

そうしてついに決定戦の戦いの火蓋が切って落とされた。
その中心にいるのは、一人だけ全く別の服を着た・・・・・・
いや、どっちかっていうと、「着ていない」男性だ。
ワイルドに無精ひげをはやし、髪の毛は伸ばし放題に伸ばし、
一応、前髪が入らないようにネクタイ(何故?)でねじり鉢巻をしている。
おまけに上半身は、裸だ・・・(だから、何故?)
その逞しい胸板に女性陣は濡れた視線を注いでいる!
白熱した戦いは続き――
終盤になって、その裸の王様がボールを手にした瞬間、
観客達は期待を込めて一斉に足踏みを始めた。
それはまたたくまにブリッツスタジアム全体に広まり
巨大なスタジアムがその地響きに身を振るわせる。
子供達もその熱狂に巻き込まれ、
真っ赤な顔をしながら一生懸命足踏みをしていた!

そして、観客の期待に応えるかのようにその選手は
『幻のシュート』をついに放ったのであった・・・・・・!!

「でたーーー、ジェクトシュート2号だっ!!」
「これで、3対1!」
「エイブスチームの優勝はもう決まったも同然だっ!」

そこで試合終了のホイッスルが高々と鳴る。
チームメイトに抱え挙げられ、
その裸の男性―ジェクトは両手を突き上げ、歓喜を露にしていた。
子供達も目をキラキラさせながら
いつまでもいつまでも、ジェクト達を見つめていた。

イデア「では、私はこれから用事がありますので・・・」
「先生方、生徒達を連れて自由行動にしてもらえますか。」
ツォン「わかりました。」
ルールー「では、4班体勢にしましょうか。」

すっかり先生業が板に付いたルールー、
手早くメイチェン、ワッカ、ツォンそして自分のグループに生徒達を分け
それぞれがザナルカンドの街へとくりだしていった。

ワッカ「おめぇら、見たか、今の!?」
サイファー「すっげーー、俺もあのシュート打ちたい!」
雷神「ワッカコーチ、オイラ達にも教えて欲しいんだもんよ!!」
ワッカ「(ドキっ!)そ、それにはなぁ〜、もちっと練習を重ねて・・・」
シーモア「うわ〜〜!あれ、見て!!」

話にすっかり夢中になっていたワッカ班、気が付けば、
中心街を外れた郊外まできていた。
そこには・・・・・・【「路地裏の少年」へと続く】

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