石の家 13話:悪魔の花嫁.1(運動会編・その2)
直前の画面に戻る2004/01/23 Written by サエ

1 / 2 次のページ ►

ナギ平原は、今やたくさんの人だかりで大賑わいであった。
イデア率いる学園生達の大運動会を
ちゃっかりイベント事にしたてあげたトーブリが
あちこちで入場券販売したせいである。
伝説の美女イデア様を見る為に、チケットは飛ぶように売れていた。
そこへ、ナギ平原に遊びに来たメイチェンが
両手にそれぞれ孫程の少女達と手をつないでやってきた。

その二人の少女は実に対照的であった。
一人は黒毛をおさげにし、真ん丸目玉の子狸のようにおっとりした
僧官スタイルのシェリンダ。
もう一人は亜麻色の髪を腰まで伸ばし、
機敏な動きを発揮するためか、
レオタードチックな軍服に身を包んだベアトリクスだ。
その姿は若い果実が醸し出す特有の危険な色気を発散している。
ツォン先生がこんな彼女を見たら・・・!!

メイチェン「どうやらナギ平原は貸切のようぢゃのう・・・」
シェリンダ「あたし、狼レースで遊んでみたいな〜」
ベアトリクス「・・・だから、貸切だって言ってるでしょ(恕)」
シェリンダ「へぇー・・・。あ、あたし、トカゲランもやってみたいなっ!!」

ベアトリクスは、シェリンダの頭の回転の悪さに
思わず腰の剣に手をかけてしまう。
一体、心の中で何度斬り捨てたことか・・・
二人は孤児であったのだが、世界を旅するメイチェンに拾われ
共に生活するようになったのだ。
しかしこのシェリンダとはどうにも馬が合わない。
おまけにシェリンダにはそれすら通じないのだから
余計に始末が悪い。

ナギ平原では一層盛り上がる人々の歓声が沸き起こった。
せっかくなのでメイチェン達も運動会を見学することに。
そこへ目敏く、オオアカ屋が声をかけてきた。

オオアカ屋「このチケットは特別券ですぜぇ。なんと競技参加券付き!!」
メイチェン「ほうほう、この子達も遊べるので?」
オオアカ屋「もちろん!でも参加資格は子供だけなんでお爺ちゃんは駄目ですがね。」
シェリンダ「やりたいやりたい!!買って買って買って〜!!」
ベアトリクス「先生!?この金額では1ヵ月分の生活費に相当します!」
メイチェン「ほうほう・・・?高いですのぅ・・・」
シェリンダ「買って買って買って〜!!」
オオアカ屋「そりゃ、特別券ですから・・・へっへっへ。」
シェリンダ「買って買って買って〜〜〜!!」
オオアカ屋「一般入場券はほとんど売り切れですぜ。」
「見学するにしても、ほれ、あそこしか空いてないんですわ。」

指差した場所はナギ平原を見下ろす崖上であった。
あそこでは、人なんて豆粒大にしか見えない・・・

シェリンダ「あんなとこ、いやーー!」

これ買ってよ〜〜〜!!

シェリンダは大の字になって手足をバタバタしながら駄々をこねだした。
こうなるともう、手のつけようがない。
周りの人々も何事かと訝しげにメイチェン達を振り返る。
そこへ天の助けか
騒ぎをききつけたツォンが様子を見にやってきた。

1 / 2 次のページ ► ページトップ▲

inserted by FC2 system