FFX-2 ルッツの日記
直前の画面に戻る2003/05/01 Written by サエ

『シンなんてこれでオシマイだ』
『俺達でナギ節をつくりだすんだ!』
『ウォーーーー!!』

そして・・・
オレが気が付いた時は・・・
辺りは地獄絵図になっていたんだ・・・
ついさっきまで互いを励ましあっていた同僚が、
オレの隣で腕だけ残して消し飛んでいた・・・
オレは・・・
シンから逃れるため、巨石の影に隠れて縮み上がっていたんだ・・・
膝を抱えて、呪文のように、ママ、ママ、って呟きながら・・・
オレってこんなに弱かったっけ。
でもあのシンを見たとき、オレの中の何かが切れちまったんだ。

今まで、オレは皆を率いるために常に気を配っていた。
リーダーとは何か、討伐隊とは何か・・・
青臭い理念を皆に押し付けていただけだったんだよな。
強大なシンを目の当たりにしたとき、
オレは自分の存在のちっぽけさを思い知らされたんだ。
本当のオレは、そう、ただの弱虫・・・
ママのスカートの後ろに隠れて泣く様な、
そんな臆病者だったんだ・・・

しばらくすると、ガッタが探しにやってきたんだが、
アイツは消し飛んじまった同僚とオレを見間違えたらしい。
腕だけ見て、どうしてオレだと勘違いしたんだか・・・あ、そういや・・・
記念にお互いのミサンガを交換したんだっけ。
あの腕には、ビサイドの文様が入ったミサンガがついてたからな・・・
オレは、ガッタに会わせる顔がなく、つい出そびれちまったんだ。
今のオレは、もう、今までの強いオレじゃないから・・・
ガッタにそんな目で見られたくない。
それぐらいなら、死んだ方がマシだ・・・

ん?

・・・そうか。

それなら、死んだことにしちゃおう。

オレは今日から、新しい自分・・・
卑怯者の弱虫として、生きていくんだ!!

ガッタがいなくなった後、
オレはビサイドとは全然違う場所へ歩いていったんだ。
本当は、死に場所探していたのかもしれない。
弱虫のオレは、自分でケリをつけることも出来ないから・・・
自然に身を任せ、放浪してたら砂漠にきちまった。
オレの末路には、ピッタリかもしれねぇな。
砂漠で野垂れ死に・・・
サヨナラ、皆・・・
オレは、このまま大地になるよ・・・


『ガミギヲフズア!?』

水をぶっかけられ、
気が付いたらアルベド人に助けられてたんだ。
コイツとまさか、
これから生涯の親友になるとは夢にも思わなかったが・・・

コイツの名前は、マブ。
コイツも、実は放浪者だった。
なんでも、ホームが爆破されちまったらしい。
ベベル宮殿め、なんてことしやがる・・・え?
爆破したのは、族長だって?
おいおい・・・
マブは、ちょっと用足しに飛空艇を降りてた間に
砂漠に置き去りにされたらしい。
コイツも哀れな奴なんだよな。
なんだかオレと同じ匂いがするぜ。
ってんで、二人で旅をすることにしたんだ。
オレも一人きりじゃ寂しかったし・・・
何より、マブとは本当に気が合ったんだ。
殻を破った弱虫のオレそのままを認めてもらえたからかもしれない。
オレたちは、砂漠でならず者になりながらなんとか
幻光河まで辿り着いたんだ。
シパーフにも乗れたし、楽しかったなぁ・・・
でも、ここまでだった。
幻光河は既に、先輩ならず者やら強盗団が結成されていて
所詮、初心者のオレ達は、
思いっきり喰いっぱぐれてしまったんだ。
残り少ない所持金まで奪われて、
もうニッチもサッチもいかなくなっていた。
そんな時だったよな、運命のあのヒトが現れたのは・・・

 なんだい、なんだい!?
 あたしゃ、ジメジメした所とウジウジした男は
 大っキライなんだよーーー!!

見上げると・・・
最近女日照りが続いていたオレ達には、
目も眩む存在が立ちはだかっていたんだ・・・
御愛用のセンスで、お熱いのをいただいたっけ・・・
オレ達は、なんだか本当に気合が入って物凄く、うれしかったんだよう・・・
その後ルブラン様は、オレ達にメシ食わしてくれたんだ。
あの時のおにぎりの味、今でも忘れられないぜ・・・
ツーと言えばカーの仲のオレ達は、
阿吽の呼吸で即、部下にしてもらえるよう、頼み込んだっけ。
最初は驚いていた様子のルブラン様だったが、
気に入ってもらえたらしい。
オレ達の目に、正真正銘の羨望の眼差しを見て取って、
嬉しかったようだ。
そりゃそうだ!
ルブラン様、最高!!
オレ達は、早速ルブラン一味の制服を支給され
メンバーに入れてもらえたんだ。
この服ならオレ達の顔も隠れるし、一石二鳥だったんだよなー。

それからオレ達の楽しい生活が始まったんだ。
っていうか、いつの間にかナギ節になってたんだよな・・・
スフィアハンターって職業があるなんて、ちっとも知らなかったぜ。
初めての任務は、
ザナルカンド遺跡にあるスフィアハントだった。
「ル」とか「サ」って合言葉を見つけ出したのは、いいものの・・・
まさか・・・こんな所で、
ユウナちゃんに出会うとは正直、思っていなかったぜ。
そしてオレ自身・・・

『ルブラン様に代わってお仕置きだ!』

なんて台詞が出てくるとは、本当、自分にビックリだったな・・・
オレって、本当にルブラン様命だったんだな。
あらためて認識しちまったぜー。
あの時は、マブがいなかったから負けちまったが・・・
まぁ、勝っても後味悪いし、いいよな。
他のメンバーもユウナちゃんには勝てなかったし、
そんなに査定に響かないはずだったのに・・・

この失敗のせいで、
オレ達はマッサージ係から降格させられちまったんだ。
最初にユウナちゃんを阻止できなかった責任を取らされたってわけだ。
マブまで連帯責任っつうことで、
二人で屋敷の見張り番にされちまった・・・
出入りするときしか姿を拝めないっつうのは、キツイよな・・・
おまけに・・・
ヌージの野郎がくるたんびに、
ルブラン様の乙女な姿を見せ付けられちまう。
そんな顔で、ヌージを見ないでーーー!
でもそんな顔を間近で見ていられるのも、門番のお陰かもしれない・・・
でもでも、それは、オレに対する眼差しでは、ない・・・
他の男をそんな目で見ないでーーー!!
おまけに。
この後は、必ずマッサージタイムがある。
本来なら、オレ達が交互でご奉仕するはずだったのに・・・
他に誰かが、この役目を果たしているんだ・・・
モンモンモン・・・
この時ばかりは、マブの視線もさすがに冷たい・・・
すまん、確かにオレの所為かも・・・
でもな、やっぱりユウナちゃんには本気出せないだろ。
とはいえ、
オレもいつまでも見張り番で甘んじるわけにはいかねぇ。
これからは、ユウナちゃんでも手加減なしだ。

そう決意した途端、
なんだかユウナちゃんがオレの正体に気付いたらしい・・・
ひっきりなしにグアドサラムへやってきては、
声かけてくるようになったんだよな。
やめてくれ、ユウナちゃん・・・
オレは名前を、過去を捨てた男だ。
これからは、生涯ルブラン一味として、生きていくんだ。
とりあえず、この通信スフィアを外しておくか。
そうすればご褒美としてまたマッサージ係に任命されるかもしれないしな!

ページトップ▲

inserted by FC2 system