FF10 大誤算
直前の画面に戻る2003/06/07 Written by サエ

シーモア君の当初の目的は、すっかり当てが外れてしまっていた。
寝食を共に過ごし、苦楽を分かち合い、
シーモア君が華麗に優雅にユウナをガードすることで
彼女からの一番の信頼と愛情を克ち得るものだと思っていた。
(なんちゃって)結婚式を挙げることは、
それを世間に証明する絶好の機会となるはずだった。
それ故、ガードの末席という立場でも甘んじて、受け入れたというのに・・・

現実はガード達の荷物もちであった。
ユウナ個人の荷物よりも、お供のガード達の装備品の多さといったら半端ではなかった。
今も頃合を見て、整理整頓するため店に立ち寄り売却していたのだが
気が付けば誰も彼を待っていてはくれなかった。
さりげなく置いてけぼりのシーモア君?
どうやら今一行はガガゼド山の山門にいるらしいので
一人そこを目指しているシーモア君であった。
いや。
彼の傍には、もう一人(?)よりそう影が・・・

「まったく、こんなまどろっこしいことしなくてもいいじゃねぇか。」
「実は、私もソレを考えなかったわけではありません。」
「祈り子になれる者は、一人・・・」 ←怪しく目が光る
「だろー?なら、他のガード衆にはお前の安息をくれてやればいいじゃねぇか。」
「しかし・・・それでは、彼女の信頼を得ることは出来ません。」
「究極召喚獣となるためには、彼女との『絆』が必要なのです。」
「あ・・・そうか・・・」
「私が目指すものは、あくまで究極召喚獣。」
「絆のない私では、例え祈り子となっても単なる一召喚獣にしかなれないでしょう。」

一見すると、シーモア君は一人で喋っているアブナイ人のようにも見える。
しかしよく見れば、シーモア君の頭の近くに
フワフワと浮いている石(?)が・・・いやこれは実は石ではなく、
シーモア君がマカラーニャの森の泉で拾った化石なのだ。
ユウナ一行がジェクトのスフィアを鑑賞している時、
入り口付近で偶然発見したカブトガニの化石なのであった。
シーモア君・・・一人、荷物もちをしている自分が悲しく、
時折この化石に話しかけていたのだ。 ←やっぱりアブナイ人?
するとスフィアの泉に頃合よく浸かっていたこの化石は
そんなシーモア君に反応したのか、だんだん喋るようになってきたのである。
これからの旅の友に、ということでこの化石に「ゲンコー」と名前を付け
寂しさを紛らわせていたシーモア君なのであった。

「なるほどなーーー。」
「じゃあ誰が今、その祈り子候補ナンバーワンなんだ?」
「私も伊達にガードをしていたわけではありません。」
「色々、彼らを査定してきましたよ。」

ここで、シーモア君閻魔帳を見せてもらおう。
それによると。

アーロン異界くさい。祈り子は無理?
ルールー頼りになる姉御。
ワッカガードよりブリッツに夢中。×
リュック途中参加。絆的には、私といい勝負。
ティーダ泣き虫。しかし恋敵。ダークホース。
キマリ父。大本命


「ほー!このキマリってのが大本命か!?」
「彼女の前には、いつも彼が立ちはだかっています。」
「それこそは、私が狙っているガード本来のポストです。」
「でも、荷物もちじゃ、なーーー!」
「お前の絆査定、このまんまじゃ上がらないぞー?」
「そろそろなんとかせねば、とは思っているのですが・・・」

そうこう言っているうちに、やっとガガゼド山・山門までやってきた。
ロンゾ一族に恭しく出迎えられるシーモア君。
ユウナ一行以外の人々からは、
彼はエボンの若き老師として畏敬の念で丁重に持てなされるのだ。

「むぅ・・・信じられぬ、シーモア老師にこのような扱いをするとは・・・」
「召喚士ユウナ、そなたはそれだけの力を本当にお持ちなのか!?」
「御山は弱く小さい者を嫌う。登りたければ・・・」
「力を示せばいいのだな!」

こうして。
ケルク大老審判の元、ロンゾ族が見守る中・・・
ユウナ一行 VS シーモア君で対決することとなった。
ユウナがシーモア君を御するだけの力を示さない限り、
シーモア老師を生き神様と崇めるロンゾ族を納得させることは出来ないのだ。
例え(なんちゃって)結婚式を挙げていても、だ。
なぜなら、ロンゾ族にとり、角は自身の力を示す偉大な象徴。
シーモア君の髪型は、ロンゾ族の中でも絶大な支持を得ているのだ。
角なしユウナ一行には、痛いハンデであろう。

戦闘が始まった・・・が、勝負はなんなくついた。
さすがのシーモア君も、ユウナ一行6人掛りでは分が悪い。
まぁ当然、本気では戦ってはいないが。
シーモア君ノックダウン寸前で、ケルク大老のストップが入った。
ようやく、ユウナ一行の力に納得したのだろう。
しかし。
ここで、誰もが予想していなかったハプニングが起こってしまった!
それは勝負終了間際に炸裂した
ワッカのアタックリールが原因だった・・・

「ん?今なんか、妙〜〜な手応えが・・・?」
「い、痛ってーーー!!お前、オレを殺す気かーーー!?」
「!!やだ!!何、アレ〜〜〜?」
「エイリアンみたいだなぁ・・・」
「幻光吸収!!」

流れ弾の攻撃を受けて血迷ったゲンコー君、
何を思ったのかいきなりシーモア君からHPを吸収しだした。
まさかそんな事が起こるとは夢にも思わなかった一行・・・
シーモア君にも、予想外であったのだろう、
あっけなく・・・
実にあっけなく、残り少ないHPを吸い取られ
シーモア君は安息の地へ一人、旅立ってしまったのだった。

「これ、やばくな〜〜〜い?」
「・・・シ、シーモア老師・・・(絶句)」
「・・・よいか、皆の衆。」
「・・・この件は、見なかったことに・・・」
「じゃ、そういうことで!」
「エボン寺院への申し開きはよろしく頼む。」

後始末はケルク大老に任せ、
そそくさとガガゼド山を登り始めた一行。

・・・さよなら、シーモア君・・・

君のガードとしての物語は、ここまで・・・(なのだろうか?)

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