FF4 ファブール編
直前の画面に戻るWritten by サエ

ホブス山を抜けると、懐かしのファブール城が見えてきた。
この城は、城下町が城の中にある唯一の一体型の城である。
ファブールの城門をくぐらねば、
誰一人として足を踏み入れる事がかなわぬ鉄壁の城である。

(むぅ・・・こやつ、できる・・・!)

城門を守るその僧兵は、鋭い『気』を発しながらカイン達を通してくれた。
単なる一兵士とは思えぬほどの只ならぬ『気』をその僧兵から感じとり、
カインは自分の中に潜むサイヤ人の血が騒ぎだすのを感じた。
城内でも、常に隊列を組みながら見回る僧兵達が
鍛え抜かれた精鋭軍団であることを見抜き、カインにも緊張がはしる。

「ポロム・・・ここは、開戦でも控えているのか?」
「この緊張感は、とても平和な世の中とは思えぬ気配だが・・・」
「そうですわね・・・戦闘中・・・と言っていいものやら・・・」

「おおっポロムではないか、おまけに・・・カイン殿・・・!!」

見上げると、そこには以前にも増して眼光鋭くなったヤン国王が立っていた。
ヤンはどうやら幸せ太りとは無縁な生活を送っているようである。

「ヤン殿・・・お久しぶりです。」
「カイン殿こそ、よくぞそこまで『気』を高められたものだ。」
「いやいやヤン殿こそ益々力をつけられたようで・・・」

しばらくお互いを褒めあう二人。←バトル野郎だから
しかし、その間でもヤンが辺りの気配を常に警戒しているのがわかった。

「ヤン殿・・・ファブールは今、どこかと戦争でもしているのですか?」
「フム・・・それが、その・・・・・・」

ヤンが気恥ずかしそうに下を向き、思わず緊張を解いた瞬間を
『それ』は見逃さなかった。
『それ』は瞬く間に風となり、ヤンへと襲い掛かっていった・・・!

ヒュ・・・・・・ンーーー!!

ヤンもカインもその殺気を感じ取り、
風に巻き込まれる寸前、上へと飛び上がった!
ポロムはカインにお姫様抱っこされて一緒にジャンプしたので
そのまま昇天してしまいそうになる。
風は、しくじった事がわかるとそのまま消え去ったのだった。

「ヤン殿・・・先ほどの殺気は!?」
「むう・・・それが・・・・・・」

『あんたーーー!!』

愛のフライパンをかざしたヤンの奥様、現ファブール王妃イン(勝手に命名)が
ドタドタと僧兵を引き連れ現われた。

「あんた、今、アレに襲われたわね!?」
「いや大丈夫、私は無事・・・」

しかしヤンの言葉を最後まで聞かぬまま問答無用でフライパンの一発をお見舞いし、
インはそのまま見回りへ行ってしまった。
驚くカインを他所に、ヤンもまた、言葉を濁しつつその場を去ってしまう。

呆然としているカインを城外へ連れ出すポロム。

「・・・実は、ここファブールはシルフと臨戦態勢なんですの・・・」
「!?しかし・・・シルフは、ヤン殿を慕っていたのでは・・・」
「それが高じてね・・・」

ポロムによると。

ヤンがファブール国へ戻るとき、
シルフの洞窟は嘆きの声で埋め尽くされたそうだ。
中にはその嘆きぶりからパンジー化してしまった者まで現われたらしい。
しかしヤンは既にインという妻を持つ身であり、
今後のファブールの指導者として僧兵を率いる立場になってしまった。
シルフ達は、泣く泣く最愛の人ヤンを地上へと返したのである。

とは言え、結局シルフ達はヤンを諦める事が出来なかった。

シルフの館で、ヤンが寝込んでいたベッドを取り囲んでは泣く毎日を送っているうちに、
『ヤンが寝込めばまた看病できる』という妄想が芽生えてきてしまったのだ。
シルフ達は自身を風に変え、ファブール城に忍び込んでは
ヤンを襲うようになったらしい。
しまいには、ヤン以外の僧兵達まで襲い始め、不覚をとった僧兵は
シルフの館へと引きずり込まれ、ヤンの身代わりに看病されているとか・・・
インのフライパンで叩き起こすと皆正気を取り戻すので
定期的にシルフの館を訪れては、僧兵を回収しているそうだ。
シルフも本命はあくまでヤンなので、
僧兵を連れ戻されても別に文句は言わないらしい。
ヤンも原因が原因なので、
シルフに強く言い出せないのもネックなんだとか。

「そうだったのか・・・道理で、皆並々ならぬ『気』を持っていたわけだ。」
「ファブールは今では凄腕の僧兵ばかりですわ。」
「イン王妃様もフライパンの腕が上がったそうです。」
「う〜〜〜む、この分では他の人もさぞかし変わったことだろう。」
「では次はギルバート様に会いに行きませんか?」
「わかった。よろしく頼むぞ、ポロム。」
「お任せくださいっ!」

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