FF4 バロン編 .1
直前の画面に戻るWritten by サエ

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この山で、一体どれぐらい季節が流れていったことだろう・・・・・・
雨降る日も雪降る日も、彼はただひたすら飛び続けた。
そして、ついにある日、
彼はスーパーサイヤ人『トランス』を身に付けたのだった。
自分の体が白紫色に光り輝いた時ーーー
彼のジャンプは究極の技となったのであった。

『これで・・・・・・やっと、君に会いに行く自信が持てたよ』

彼はついに試練の山を降りる決意を固めた。
今まで聖なる山を修行の場として提供してくれた長老に一言礼を述べるため、
彼はミシディアの村へと向かったのであった。

『うーん、魔道士達を見るのも、久しいなぁ』

ミシディアの村は、魔道士達で活気に満ち溢れていた。
その様子につい話し掛けたくなる衝動に駆られたが
無闇に豚や蛙にされても困るので
ここはグッとガマンして祈りの塔を目指して進んでいった。

すると・・・

『カイン様〜〜〜!』

自分の名前を呼ばれて、驚きの表情を隠せないカイン。
一体誰が呼んでいるのだろう、と辺りを見回すと
ウェーブのかかった黒髪の美少女が自分に向かって大きく手を振っているのが見えた。
利発で悪戯好きそうな大きな瞳を持つその美少女は真っ直ぐに
カインの元へと駆け寄ってきた。

『カイン様、お久しゅうございます』

優雅に一礼するその美少女に、
しかしカインは全く見覚えがなかった。

「む・・・失礼だが、貴女は・・・」
「フフフ・・・わかりませんか、私です、ポロムです。」
「・・・!!あの双子の、ポロム・・・!?」
「カイン様が山にお篭もりになられてから、12年経ちました・・・」
「私も17歳になりましたわ。」
「な、なんと・・・!そんなに月日が経っていようとは・・・!!」
「でもカイン様は・・・あの頃のように・・・素敵です・・・(ポッ)」

そう・・・・・・
長年、ただひたすら修行に打ち込んできたカインは
とても我らと同い年には見えない!!(←*注 あくまでこれを執筆した当時)

鍛え抜かれたその鋼のような体は、
体脂肪率5%という脅威の身体になっていた。
更に修行の結果とり戻したその自信は、カインを内面からも成長させたのだった。

今まで、竜騎士として
常に自らの表情を仮面の下に隠してきていたカイン。
その仮面は、
ローザに対する想い、セシルに対する妬み全てを覆い隠していてくれた。
それ故、彼は竜騎士を口実にして仮面を被り続けていたのである。

しかし自分の弱さを認識し、あらためて修行に打ち込んだ結果、
彼は『トランス』を習得した。
それは仮面を脱ぎ捨て、自分の顔を晒す勇気をも与えてくれたのだ。
竜騎士の仮面を傍らに携え、堂々と街中を歩いてきたカイン。

その姿を見たとき、ポロムは確信したのだ。

自分がカインに恋している事を・・・・・・

きっかけは、彼の修行の様子を偶然目撃した事に始まる。
彼の見事なプラチナブロンドの髪が風にたなびくたびに、
人間のどん底を見てきたその憂いを帯びた緑の瞳が震えるたびに、
彼の逞しさを示す、一文字に結ばれた口から吐息が漏れるたびに、
ポロムはどんどん、カインに恋してしまったのだ。

そのカインがついに試練の山から降りてきたのだから
ポロムはもう、嬉しくて涙がこぼれそうだった。

「カイン様、早速、今の長老に紹介いたしますわ。」
「む、済まぬ、ポロム殿・・・。」

ポロムに連れられ祈りの塔へ入ると、
そこにはポロムとソックリな背の高い凛々しい青年が待ち構えていた。

「カイン殿。お待ちしておりました。」
「そなたは・・・パロムか・・・う〜む、年月を感じるなあ・・・」 ←苦笑い
「今は、現ミシディアの長老でもあります。」
「!!!そ、そうであったか・・・今までお山を借りていて、かたじけない。」

パロムはテラを目指してひたすら修行を続けていたのだ。
その結果、メテオは勿論のこと、
なんとアルテマまで習得してしまったのだ。
この世界には存在しないアルテマまで覚えるとは、流石パロム!
前長老はそれを期に引退し、
パロムが長老の座を受け継いだのであった。

「オレは長老なんてなりたくなかったんだけどなぁ。」
「あなたの代わりに私が旅してきてあげるわよ!」
「さ、参りましょうカイン様。」
「・・・え!?」
「おいおい、ここからバロンへはデビルロードでアッという間だ。」
「お前が案内する必要なんてないだろう。」
「何言ってるの!カイン様は今、浦島太郎状態なのよ!」
「私がついて行ってあげなくて、どうするのよ!」
「む・・・・・・(それもそうか・・・な?)」
「それじゃまたね、パロム長老様!」

そう言い放つとカインの腕に自分の腕をからませ、
デビルロードを通って
さっさとバロン国へとワープしていったポロムなのであった。

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