FF8 選択 .1
直前の画面に戻るWritten by サエ

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視聴覚室にて。
子供達が、今熱心に見ている映画は「魔女とその騎士」。
圧政に苦しむ民を救うべく立ち上がった魔女と
その騎士ゼファーとの愛を盛り込んだ冒険ファンタジー映画だ。
クライマックスシーンは、
独裁者スー・シーモア・トーカーにより攫われた魔女を救出すべく、
操られたルブニクドラゴンと騎士ゼファーが一騎打ちする場面だ。
騎士ゼファーはその独特の構えと剣により、ルブニクドラゴンを見事に退治する!
このシーンはDVDのオマケ特典として、
子供達自身、ゲームとして遊ぶことができることも人気の一因なのだろう。
おかげで視聴覚室のコントローラーは、ボタンとボタンが見事に磨り減っている。
今も、騎士ゼファー気分のサイファー達が一生懸命
ドラゴンと対戦している所だ。

「それ!攻撃だ!!」 ←ボタン連打
「!!危険!!」
「あー、ダメだもんよ!」
「今のはボタンだったんだもんよ〜〜!」

画面には、HPゼロとなって倒れる騎士ゼファーと
ゲームオーバーの文字が・・・
もう一度挑戦だ!と騒いでいる三人のところに職員がやってきた。
呼びかけられて振り返った三人の後ろには、長蛇の列。
また今度な、と体良く視聴覚室から追い出されてしまった。

しかし興奮覚めやらぬ三人は、
騎士ゼファーが映画で使用していた不思議な武器について調べるため
図書館目指して一斉に走り出した。
そんな三人の後姿を苦々しく睨む教官と微笑ましく見守る風紀委員長の姿が。


図書館にて。
高いところにある本は雷神にとってもらい、
片っ端から武器について調べる三人。
しかしお目当ての「あの武器」は何故かどこにも載っていない。
するとそこへシド学園長が通りかかった。
こう見えても一応当ガーデンの最高責任者なので武器について聞いてみると

「我が図書館で網羅できない事象などありませんよ。」
「ほら、ここにちゃんとあるじゃありませんか。」

「どうです、完璧じゃないですか(エバリっ!)」
「これじゃ、ないんだよおー。」
「ん?じゃ、もっと古い武器ですか?」
「それなら、マシンガン、カタール、ハープーン・・・」
「否!!」
「この剣に、似てるんだもんよー。」
「でもトドメは引き金みたいなもので始末するんだよー。」
「え・・・引き金・・・ト・トトトトトトリガーですかっ!?」
(・・・ついに、この日がきましたか!?)
「オレ、その武器を使いたいんだ!」
「サイファーが!!(なるほど、この子なら、あるいは・・・)」
「今度の授業で使用武器の申請するんだもんよ!」
「・・・武器名、不明・・・書込不可・・・」
「こほん。しかし、サイファー・・・」
「この武器を使いこなすことは簡単ではありませんよ。」
「何故?」
「サイファーに使いこなせない武器なんて、ないもんよ!」
「これはただ闇雲にボタンで選択するだけではダメだからです。」
「どういう意味?」
「「たたかう」コマンドを選択するだけではダメだという事です。」
「この武器の場合は、その後にまだやらなければならない事があるのです。」

ざわめく三人。
そんな様子に何故か、うれしそうなシド学園長。
きっと、今まで彼の話をこんなに真剣になって聞いてくれた者は
いないからに違いない・・・。

「ねえねえーーー、何すればいいんだよー!」
「それはですね、ボタンを押すんですよ。」
「しかも、タイミングを合わせて押さなければ、効果はありません。」
「!?あ・あーるいちボタン!?」
「・・・(ドキドキ)初耳・・・」
「そうですね。年少組にとっては、まだ必要ないボタンですから。」
「でもこの武器は、大人でも使いこなした人はそうそういません。」
「・・・いえ・・・ガーデン内に限っては、未だに使いこなした人はいません。」
「え!誰も、いないの!?」
「そうです。全く、一人も、まるっきり、存在しません。」
「そ、そんなに難しいもんなんだもん・・・?」
「サイファー、大丈夫?」

皆の心配を他所に、サイファーの目はキラキラしていた。

「なんて最高な武器なんだ!!」
「オレの、オレによる、オレだけのために存在する武器じゃないか!!」
「その意気です!是非とも使いこなして欲しいですね。」
「この武器は「ガンブレード」と言います。」
「次回の授業での武器希望の提出、楽しみにしていますよ。」

うれしそうに図書館から出て行くシド学園長。

「ガンブレード・・・くー、名前までかっこいいぜ!!」
「うらやましいんだもん。」
「あ、そうだ、お前らは何を希望してるんだよ。」
「秘密(笑)」
「え、ふうじんはもう決めてたんだもん!?」
「お、オイラ、まだ・・・(オロオロ)」

三人、しばらく雷神のための武器選びをする。
・・・・・・・そして、6時間が経過した・・・・・・・

「(イライラ)・・・オイ!雷神!!まだかよ!?」
「うん〜とうん〜と・・・」 ←プーさん風
「優柔不断!!」
「うん〜とうん〜と・・・」
「あーーー、もう、お前なんて、その辺に落ちてる木の棒でいいよ!!」
「(サイファー、其KH・・・別遊戯)」

雷神は結局、その日は武器を決めることができないまま、
使用武器願を提出する日を迎えてしまった。
教室では、シド学園長が張り切って教鞭をとっている。

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