FF8 新一年生 .2
Written by サエ

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図書館に着いた三人は魔女の本を探し始める。
しかし、ガーデン随一のバラムガーデンの図書館には、
それこそ無尽蔵に書物が保管されている。
とりあえず手当たり次第、魔女に関する本をかき集めてみた。
目の前が見えないくらいうず高く積まれた本を手分けして持ち出し
仲良く並んで、教室へ戻る三人。

「・・・視界不良。」
「全くだ、全然前が見えねぇぞ!?」
「がんばるんだもんよーーー。」

エッチラオッチラ本を運ぶ三人の耳に、
なにやら聞きなれないモーター音が聞こえてくる。
前が見えない分、その音は余計に三人を刺激した。
その低く唸るようなモーター音は、
なんだかだんだん近づいてきているようだった。
最初は一定のリズムで聞こえていたのだが
突然、悲鳴のような高音混じりのモーター音に変化した!!

サイファーには、この頃から確かに
人並みはずれた戦闘能力があったのだろう。
おもむろに両手に抱えていた本を放り投げたかと思うと、
隣にいた雷神を蹴飛ばし、風神を抱えて(同じぐらいの身長だが)、
近くにあったベンチの方へと駆け出した。
蹴っ飛ばされた雷神が、何するんだもんよーーーと
廊下横に植栽されている茂みから顔を出した時、
先程まで自分達が歩いていた場所を猛スピードで駆け抜ける
Tボードに乗った少年の姿が目に飛び込んできたのだった。
少年は、後ろの方を振り返りながら運転していたため、
サイファー達が放り出した本の山に思いっきり突っ込んでいった。
本にぶつかった衝撃で、Tボードから投げ出された少年。
そして制御不能となったTボードは
なんと真っ直ぐサイファー達の方めがけて飛んでくるではないか!
そのままベンチに激突し、ベンチは粉々に砕かれてしまう!!
その影に隠れていたサイファー達はなんとか、無事・・・


では、済まなかった・・・!


「ど、どうした、風神!?」
「破片・・・眼・・・」

片方の目を手で押さえている風神。
その手の隙間からは、大粒の涙がポロリポロリ・・・
どうやら、ベンチの破片が目に入ってしまったようだ。

「なにすんだ、お前ーーー!!」

サイファーがその声で振り返ると、
運転していた少年は雷神に張り手をお見舞いされていた。
そして相撲界伝説の仏壇返しが炸裂しようとした、まさにその瞬間。

「はい、そこまで。」

気が付くと、
三人は何時の間にやら風紀委員達に取り囲まれていた。
その中でも、一際異彩を放つ少年が。
背中に「風紀委員長」というロゴがはいったマントを羽織っている。

その後Tボードに乗った少年は
「違反物持込・器物破損・傷害致死」の現行犯で連行されていった。
残りの風紀委員達が、状況説明をかねて教室に本を届けてくれ、
三人は手当てのため風紀委員長に保健室へと案内される。
カドワキ先生が迅速に処置をしてくれた。
ちょっと大きい破片がはいったせいだが、視力に問題は残らないそうだ。
しばらく大事をとるため、
大き目の眼帯を渡された風神は黙ってそれを眼にあてがう。

「おお!なんか、カッコイイぜ!?」
「ああ!名誉の負傷みたいだもん。」 ←微妙に違うが
「・・・満更?」
「いやー、可愛い顔に傷跡つけちまって、悪かったな。」
「あいつ俺達を撒こうといきなりスピード上げたもんでな。」
「サイファーが機転を効かしてくれたおかげだ。」
「え!オ、オレの名前、なんで知ってるの!?」
「フフ・・・風紀委員リストをなめるなよ。」
「お前が校内走り回ってるのは、有名なんだよ。」
「あー、校内は走っちゃダメなんだもんよ!」
「そ、そんなことぐらい、知ってるやい!」
「・・・どうだ、お前等、風紀委員に立候補してみないか?」
「えっ!?」
「特別だ。お前らには今、特権を教えてやろう。」
「風紀委員だけは、校内を走ってもかまわないんだ。」
「今回みたいな違反者には、歩いてたら追いつけないじゃねえか。」
「あ、そっか。」
「校内見回りの場合、駆け足は認められているんだ。」
「!!大義名分!!」
「オレ、風紀委員になる!絶対、立候補するよ!!」
「よーしよし。委員会にきたら、俺が面倒みてやるからな。」

風紀委員長は三人と堅い握手を交わすと
その長ランをひるがえしながら颯爽と保健室を後にした。
カドワキ先生も
風神の容態を学園長に報告してくるわ、と出て行った。

「サイファー、さっきはありがとうだもんよ。」
「急死一生。」
「いやー、どうってことねえよ〜。」 ←照れてる
「オイラ、これからずっとサイファーについていくんだもんよ!!」
「同感。」

そして、風神、
口をモゴモゴさせ、はにかみながら

「感謝感激・・・サ、サ・イファー・・・」

それは、風神が、 生まれて初めて漢語以外を喋った瞬間だった。
風神はこれがきっかけでサイファーに憧憬の念を抱くようになり
そしてそのサイファーに、眼帯がカッコイイと言われたため、
目が完治した後でも眼帯を外すことはなかったのだった。

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